One day -EXO短編集- (ページ9)

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ふぁぼがの撮影現場。

昨日の駄々などなかったかのように、Aはチャニョルさんともにこやかに会話を交わしている。

今日も無事に終わりそうだ。

Aは予定通り、撮影を終わらせた。
　

「お疲れさん」

『次、移動よね？』

「ん、そうやで」

話しながら、移動用のバンに向かうと、

「Aちゃん！」
　

少し低めの声が後ろからかけられた。

声の方へ振り返ると、そこには同じく撮影を終えたチャニョルさんが立っていた。

『ちっ.....』

小さく舌打ちをした後、Aは振り返った。

その顔は、笑顔でいっぱい。

.....改めて、女優って怖いわ。

「撮影、お疲れ様！」

『お疲れ様です』

「今日、これからの予定は？」

『バラエティー番組の収録です』

「そうなんだー」

うーんと唸りながら、チャニョルさんは考える素振りを見せる。

そして、あっ！と言いながら手を叩いた。

「次の撮影の後、ディナーなんてどうかな？？」

ニコニコしながら、チャニョルさんは言った。

ぞわっと自分の中で訳の分からない感情が湧き上がる。

.....いや、訳の分からないなんて、野暮な言い回しはしないでおこう。

すでに俺は分かっている。

これは、嫉妬。

　

「俺、個人的にもAちゃんと、もっと仲良くなりたいなぁ」

そう言うとチャニョルさんは、Aの手を掴もうとする。

目の前で好きな女が口説かれて、黙っておける男が世の中にいるんだろうか。

少なくとも、俺は無理だ。

やめろ！

そう言って、彼の手を払おうとする。

ところが、Aの手は彼の手ではなく、俺の腕に絡みついてきた。

って、は.....？

何この状況。

訳が分からず、立ち尽くしていると、絡められた腕にギュッと力が入った。

『ごめんなさい、チャニョルさん。次もお仕事なんです.....。それに私、この人のことが好きなので。失礼します』

それだけ言うと彼女は、腕を絡めたまま、バンへと向かった。

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