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今日は待ちに待った日曜日。
最後になるはずの、あのお客さんのために店を開けて待つ。
しかし.....
彼は閉店の時間になってもやってこなかった。
でももしかしたら、もう少し待てば、彼は来るかもしれない。
そう思い、店先でスマホをいじりながら待ってみた。
「お姉さん.....チョコ...ひとつ」
声がして、ぱっと顔をあげると日曜日の常連さんである彼が息を切らして、立っていた。
今日は黒のadidasのスポーツウェア。
彼に良く似合っていると思った。
『い、いらっしゃいませ』
来てくれた.....
弾む心を抑えながら、いつも通りを装ってみる。
「良かったぁ、もう閉まっちゃったかと思いましたkk」
フニャ、と笑う彼の笑顔に心臓がトクンと跳ねた。
『お客さんがいらっしゃるかと思って、開けておきました』
バブルティーを準備しながら、少し勇気を出して話を広げてみる。
「え、なんで僕が来ると思ったんですか?」
走って少し乱れてしまった、軽く染められた髪の毛をワシャワシャと整えながら、彼は驚いた風に言う。
『だって毎週、日曜日の夜にいらっしゃるじゃないですか.....』
「.....え?」
更に彼は、驚いた声を出した。
うわぁーーーーーーー!
やらかした!!!!!!!!
なんだよそれ、自分!
めっちゃ前からあなたのこと見てます、みたいな!!
うわぁー、気持ち悪いよね。
無理だよね!!!
初めて喋った女に「いつも来てますよね」なんて言われたら、ホラー以外の何事でもないよね?!
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作者名:まほまほ | 作成日時:2016年5月8日 21時