07.秘技・おねだり ページ9
side 透凛
『……ん、』
目が覚めると、そこは見知らぬ天井。あれ、ここどこ？
意識の覚醒しない頭を無理やり回転させ、体を起こす。ぼんやりとした視界で状況を把握しようと頭を左右に揺らしてみる。すると目の前には絵心さんらしき人物が。
『……えご、さん？』
「あぁ。随分今回は起きるのが遅かったな。1時間は寝ていたんじゃないか？」
『…え、』
待って、そんなに寝てた？ていうか何で今回は寝ちゃったんだっけ。うーん、思い出せない……。
うんうん唸っていると絵心さんは椅子を回転させて私の方へ向き直る。
「覚えていないのか？お前は千切豹馬と対峙した恐怖で気絶したんだ。その様子は監視カメラからきちんと見ていたぞ、ひどく滑稽な様だった。」
……あっ、思い出した！！！
赤い髪の女性みたいな人がすごい見てきて、それがすごく怖くて…それで寝ちゃったのか。
多分、戸惑わせちゃったよなぁ。後で謝っておかないと。
あ、そういえば絵心さんに頼みたい事があったんだっけ。
『そういえば絵心さんに、お願いが…』
「なんだ、要求次第では聞いてやらないこともないが。」
『ち○かわのぬいぐるみが欲しいで「却下だ」
…そんな即答しなくても良いじゃんか。
思いの外冷たい返答が返ってきて少し機嫌が悪くなる。むっ、とほっぺを膨らましながら絵心さんを見ていると、絵心さんはチラリとこちらを見た後言葉を発した。
「大体何でそんなものが欲しいんだ？布団は用意されていたはずだぞ。」
こうやって聞いてくれるから、この人の事を完全に嫌いになれないんだよね。絵心さんは女の子のほっぺを膨らました顔に弱いのかもしれない、覚えておこう。
『私自分で寝ようとした時には何か抱えたり握ってないと、寝れないから…折角なら、ちい○わがいいなって…。
ね、絵心さんおねがいします、？』
「………」
…何だよその顔、相変わらず何考えてるかわかんない顔して。
ふふん、私はこんなのには屈しない。じーっと絵心さんの目を見続けていたら、絵心さんが折れてくれた。
「…後でネットで注文しておく」
『ほんと、ですか…？！』
やった、嬉しい。どんな子だろう、名前何にしようかな。
「…分かっててやってるのか？」
『へ？何がですか？』
絵心さんが急に何かを聞いてきたが、何を聞きたいのかはわからなかった。まぁいいや。
『絵心さん私オデかあのこのぬいぐるみがいい』
「注文の多い奴だな…」
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作者名：ふらっぺ | 作成日時：2023年3月7日 18時
