ねむれるてんしさま【ブルーロック】 (ページ40)

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38.NO.1との邂逅ページ40

side 透凛

チームZvsチームVの試合が始まった。今回も私は絵心さんの部屋で観戦中…と、言いたいところだが絵心さんはそこまで優しくない。きちんと仕事を押し付けられ…ごほん、仕事を任せられたので現在私は潔さん達の棟とは別の棟を奔走していた。

『おかしいでしょ、せめてあと4人くらい雇って欲しい…ひとつの棟に1人…。』

ぶつぶつ文句を垂れつつも、ひたすらにスポドリを籠に詰めては運んでいく。この棟もたしか次試合があったはず、スポドリは大量にあった方がいいよね。そう考えて、仕事をこなしていっていた。

…スポドリ運びが一段落し、ユニフォーム等の洗濯をしようとしていた時。

「おい」

急に誰かに声をかけられた。随分乱暴な言い方だな、そう思って振り返ると、トレーニングスーツの腕部分に1という数字を刻んだ人が。…糸師凛、この棟でのナンバーワンだ。

…正直な話をすると、私はこの男が苦手だ。高圧的な態度に関しては絵心さんで耐性が付いているからいいものの、常に睨みをきかせた視線と誰も寄せ付けないオーラ…それが苦手だった。

『(常に眉間にしわ寄せてると、将来取れなくなっちゃいそう…)』

関係の無いことが頭に浮かんでは消えていく。言い訳じみているが、私は人と話すのが得意では無い。友達だって多くなかったし。これは現実逃避によるものだとすぐに分かった。

だが仕事を放棄する訳にはいかない。声をかけられたのだ、愛想良く答えなければ。

『糸師さん、ですよね。何か御用ですか？』

「…おいタコ女、馬鹿にしてんのか」

『は？』

やべ、口に出しちゃった。え、愛想良く反応したら馬鹿にしてんのかって言われたんですけど。そっちが馬鹿にしてんだろ…。不機嫌メーターが上昇していく。心を沈めなくては。私はアンリさんに期待されてる、私はアンリさんに期待されてる、私はアンリさんに期待されてる
！！！

『…すみません、仰ってる意味がよく分かりません』

「ﾁｯ…その呼び方やめろって言ってんだよ」

『あぁ…なるほど』

データによればこの人は糸師冴と血縁関係にあり、兄弟間に何かの蟠りがあるらしい。そういう人と同じ苗字で呼ばれるのが嫌なのかも。

『でしたら…凛さん、でよろしいですか？』

「テメェ俺と同い年だろ。敬語いらねぇ、ムカつく」

『…じゃあ、凛くん？』

そう言って首を傾げると、凛さん改め凛くんは私を少し見た後目を逸らしてしまった。…それは、肯定の意でいいのかな？