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「ねえ陣平くん」
「…あー?なんだよ」
慣れない"陣平くん"呼びにどき、と心臓が跳ねた。
俺の周りで"陣平くん"なんて名前呼びをしてくるやつはいない。まあ名前呼びなんて幼い時から親しい萩原くらいだろう。
それに比べて、コイツは出会ってまだ二日目。
初対面のときから不思議と緊張感がなくて。それもコイツがこんなに馴れ馴れしいからだろうか。
「もっと君と話をしてみたいな!」
「話」
「うん、話題なんてなんでもいいからさ」
彼女はああそうだ!と何かを思いついたのか、嬉しそうにぽん、と手を合わせる。
「おにいさ…じゃなくて、陣平くんのお仕事の話が聞きたいな」
「そんなことでいいのかよ」
「もちろん!これでも警察官目指してた身だし」
そう言うと彼女はへへん、と腰に手を回して自信満々に鼻を鳴らす。そして「ね、いいでしょ!お願い」と眉を下げ、首を傾げる。
お願いごとが上手な様で。
「…大した話なんてできねえけど」
「いいの!?聞きたいな」
それから俺は警察学校で愉快な同期と過ごした話や、手先が器用なので爆弾物処理班にスカウトされたこと、そして以前まで爆弾物処理班にいたこと、捜査一課に回されて先程行ったように爆弾解体中に爆発に巻き込まれたこと。詳しく話をした。
俺ばかり喋っているから、コイツは警察を目指していたとはいえどいつか退屈しねえかなと心配もしていたのだが。
ちら、と横目で彼女に視線を向けると、ちゃんと相槌を打って俺のつまらないような話を全て耳に入れてくれている様子で。
「それで?ほかにもっとないの?」
キラキラと興味津々に目を輝かせるコイツは、まるで少年のようだった。
「………俺の話はもう終わり。また今度な」
「ええ〜!もっと聞きたかったのに」
残念そうにがくり、と肩を落とす。
あ、ほんとにコイツ俺の話を最初から最後まで全部聞いてくれていたんだな、と思うと少し嬉しかった。
そんな彼女に、俺はさっきから気になっていたことを尋ねる。
「そんなことより」
「ん?」
「お前の名前聞いてなかっただろ」
きょとん、と目を見開いて驚いた表情を見せたあと、「…そうだったね」と消えそうな声で呟いた。
「あまり教えたくないって言ったら怒る?」
「ハァ?俺は教えたぞ」
「……そっかあ、そうだよね」
「それにお前俺とその、……恋、するんだったら名前くらい呼ばせろよ」
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KILLER(プロフ) - 月見さん» ありがとうございます︎;;そう言っていただけてとっても嬉しいです!新作も是非よろしくお願いします💗🙌🏻 (3月12日 22時) (レス) id: 1035f62a68 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 凄く涙が出ました…!!!語彙力なくて表現し切れませんが兎に角めちゃくちゃ面白かったです!!新作などの予定があれば是非そちらも愛読したいです!!!完結おめでとうございます! (3月11日 7時) (レス) @page28 id: a8d5a980d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KILLER | 作成日時:2023年3月15日 16時