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「……それ、俺に手伝えることあるか?」




「分かってないなあ、おにーさん」




チッチッチと舌を鳴らし、指を振る彼女。そしてニヤリ、と悪戯に笑う。



「それじゃあ言い方を変えるね。




おにーさん(. . . . .)と、燃えるような恋がしたい」





「…………は」





コツコツと靴を鳴らし、後ろに手を組んでこちらへ近付いてくる。目を細めて、上目遣いで俺の顔を覗き込んだ。










「ね、いいでしょ?"松田陣平"さん」







「な、なんで名前知って__」




「リストバンド。おにーさん、いつも腕まくってるから名前が丸見えだよ」




反射的にバッと自分の手首に巻かれたリストバンドを確認する。

__コイツ、そんなところまで見てたのか。


思わず感心してしまう。今は刑事という立場だからか、コイツの洞察力には本当に驚いた。


彼女の顔を見ると、けらけらと楽しそうに笑っている。




「………随分と楽しそうで」



「ごめんって、おにーさん」




ふう、と息を吐きだして冷静になる彼女。
そして少し困ったように笑い、ポツリと呟いた。





「だから、お願い。一週間だけ、おにーさんに恋してもいいかな」





彼女は悲しそうに俯く。
そんな顔をされると、そんなことを言われると。調子が狂うじゃないか。







「…………好きにしろ」





「本当!?ありがとう、"陣平"くん!」


「は!?名前……ッ」



「あ、"松田"くんの方がお気に召したかな?」




ふふ、と口に手を当てて笑う。
なんだかコイツばかり余裕があるみたいで、すごく悔しくなった。
これじゃあ全部コイツの思惑通り、ってか。


(………まあ、悪くないか)



あと一週間、好きにさせてやろう。俺にできるのは、それくらいだから。






「もう好きに呼べ」






「ひひ、ありがとう陣平くん」





「(結局陣平くん呼びかよ)」

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KILLER(プロフ) - 月見さん» ありがとうございます︎;;そう言っていただけてとっても嬉しいです!新作も是非よろしくお願いします💗🙌🏻 (3月12日 22時) (レス) id: 1035f62a68 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 凄く涙が出ました…!!!語彙力なくて表現し切れませんが兎に角めちゃくちゃ面白かったです!!新作などの予定があれば是非そちらも愛読したいです!!!完結おめでとうございます! (3月11日 7時) (レス) @page28 id: a8d5a980d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:KILLER | 作成日時:2023年3月15日 16時

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