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「15年前、アイツ___Aは余命より早く逝ってしまった」





「……うん」





「でも5日間も生きた」






「………」











「…………そして、Aは当時14歳。………………これで合ってんだろ」






「……ああ、間違いないよ」











肩の力が抜ける。
安心の意味ではなかった。でも、ほっとした。胸のざわつきもモヤモヤも全部負い払って、スッキリした気分だった。





だが、決して良い気分ではない。

あたりめーだろ、好きになった奴が幽霊だなんてさ。
信じられっかよ。信じたくねえよ。




………………5日間。

1週間って聞いてたのに、まさかたった5日間しか会えねえなんてな…。







「アイツ、よく笑うんだ……」








でも、無邪気に笑ったのは片手で数えられるくらいの回数だったな……。

いつもどこか苦しそうに、作ったような笑顔を俺に向けんだ。

んで、なんともない!大丈夫!って強がってまた笑って……。










「すげえかわいいヤツなんだ、ほんとに凄いヤツなんだ」








だって俺を落としちまったんだぜ?

会った瞬間思ったよ。あ、コイツは他の奴となんかちげーなって。

で、話してみれば案の定。俺はAに『燃えるような恋がしたい』って言われる前からAのことが好きになってたんだ……。

しかも、病気と最後まで逃げずに闘って。

5日間も生きてくれたんだ。




あー、腹立つ。
なんでアイツが。
なんでアイツが死ななくちゃいけないんだよ。

14歳?若すぎるだろうが。
もっと未来があったはずだろ……。










もしAが生きている間に俺と出会ってたら、




また『燃えるような恋』ができてたか?











なんてな。

あーあ…………。











「こんなんになんなら、会わなきゃよかったなァ…………」



















あの日、俺が屋上なんて行かなければ良かったのかもしれない。









ふと窓の外に目をやる。

そのにはいつも通り青空が広がっていて、雲が流れていて。
いつも通りの空間がそこにはあって。いつも通りの時間が止まることなく流れている。



あー、いつも通りってすげーことなんだな。



もしアイツがいたら、「急に何それ、陣平くん気持ち悪い」なんて言われるのだろうか。

もし大人になったアイツがいたら、「深いね、それ」なんて言って笑うのだろうか。

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KILLER(プロフ) - 月見さん» ありがとうございます︎;;そう言っていただけてとっても嬉しいです!新作も是非よろしくお願いします💗🙌🏻 (3月12日 22時) (レス) id: 1035f62a68 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 凄く涙が出ました…!!!語彙力なくて表現し切れませんが兎に角めちゃくちゃ面白かったです!!新作などの予定があれば是非そちらも愛読したいです!!!完結おめでとうございます! (3月11日 7時) (レス) @page28 id: a8d5a980d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:KILLER | 作成日時:2023年3月15日 16時

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