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「Aさん？」
「ああ、これくらいの背丈で……」
「何の病気で入院してた子かしら？」
「それは……分かんねーけど………
あ、いつもカーディガン羽織ってスリッパ履いてて…」
一旦自分の病棟に戻り、まずは病棟の看護師に事情聴取。比較的ベテランで、この病院に長く務めて居そうな人に。
……が、必死にAの特徴を伝えるものの大勢の入院患者の中から絞り出すのは当然困難。
「他に特徴は？」
「それは……」
もう俺が伝えられる範囲での特徴は伝え切ってしまった。
もっと分かりやすく、もっと決定的なアイツの他の特徴をぐるぐると頭の中で考えてみる。
やっぱり無理か……見つからないのか……と、頭の中でそんな言葉がよぎった。
ここまでか、と諦めかけたその時。
一瞬脳裏によぎったのは今朝机の上で手に取ったあの紙パック。
「…………りんごジュース」
「へ？」
「紙パックのりんごジュースをよく飲んでた」
「…………松田さんねえ…」
ベテラン看護師がはぁ、と呆れたようにため息をつく。
「そんな特徴じゃ分かんないわよ…、ほら、諦めて病室に戻った戻った！」
「……だから、りんごジュースよく飲んでんだっつーの……！」
「だからそんなのじゃ分かんな……」
「それ、Aさんのこと？」
後ろから聞こえた声。
驚いて振り向くと、貫禄のある1人の医師がこちらへ向かってくる。
彼の不思議なオーラはきっと今まで積んできた経験の豊富さからだろう。人目見ただけでわかる、かなりベテランの医者だ。
「キミ、Aさんのことを探しているのかい？」
「ああ。一昨日屋上で会ったっきり行方が………」
「そうか……そうかい」
彼は小さくそう呟くいた後、俺の方へ向かってくる。
そして、肩をポンと軽く叩いた。それがどういう意味なのかは分からないが、とても心が温まった。
俺が不思議そうな眼差しで彼を見る。Aを知っているんですか、と尋ねようと「あの、」と口を開いたところで彼は「Aさんは」と口を挟む。
「Aさんは帰ったよ」
「……え？それは退院したって意味＿＿＿」
「いや、違うね」
すると、彼は悲しく微笑んだ。
「空に帰ったよ」
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KILLER(プロフ) - 月見さん» ありがとうございます︎；；そう言っていただけてとっても嬉しいです！新作も是非よろしくお願いします💗🙌🏻 (3月12日 22時) (
レス) id: 1035f62a68 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 凄く涙が出ました…！！！語彙力なくて表現し切れませんが兎に角めちゃくちゃ面白かったです！！新作などの予定があれば是非そちらも愛読したいです！！！完結おめでとうございます！ (3月11日 7時) (レス) @page28 id: a8d5a980d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KILLER | 作成日時：2023年3月15日 16時
