【松田陣平】死んで花実が咲くものか

7日目 ページ22

結局、分からないまま一日が終わってしまったのだった。

そのため昨日は何の収穫もない。とにかくわけがわからないまま今日を迎えてしまった。


ため息が静かな病室に響く。静寂がやけに緊張感と昨日の不気味さをもたらしていた。




このまま終われるもんか。





アイツの行方が分かるまで、退院するもんか。
意地でも見つけ出してやる。




そう意気込んで、窓から入ってくる眩しい朝日を背中で浴びながら病室を飛び出したのだった。








◆








「分からないねえ」


「そんな患者さんは見たことないですね」


「ほんとにいるの？その患者さん」








色々な病棟を回って看護師や医師、病院のエントランスホールで働く警備の人や事務の人……。ありとあらゆる人に聞くも、みんな口を揃えてこう言うのだった。



なかなか見つからない。Aは一体、あの一日でどこに行ってしまったのだろう……。


もう見つからないのではないか。
もしかしたら俺は幻覚を見ていたのではないか。





諦めて、Aのことは忘れようか。












(…………んなこと、できっかよ)












小さくため息をついて勢いよく立ち上がる。
本業での事情聴取は、もっと厳しく長い戦いが繰り広げられる。むしろ上手くいく方が珍しいまであるのだ。


こんなのまだ序の口だ。




そう自分に言い聞かせる。時間を見るともう昼過ぎ。午前中は特にこれといった収穫はなかった。
だが、諦めない。腕をまくり、自分の頬をパンッ！と叩いた。











(ぜってー見つけ出す)












ここで諦めてたまるかとまた足を運ぶのだった。

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