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必死に足を回転させ、パタパタと階段を駆け上がる。









ふと、アイツの言葉が脳裏をよぎった。
















___陣平くん、死んで花実が咲くものか………だよ___















ああ、そうだ。そんなことわざを言っていたなあ。
俯いて、どこか苦しそうな顔をして。














___枯れた草や木には花も咲かないし、実もならないでしょう












そりゃそうだよなぁ。枯れちまったらなにもできねえよなぁ。








屋上はこの病棟から9つも上の階だ。
エレベーターが使えないというものの考えず無茶をしてしまったな、と反省しながら終わりの見えない階段を見上げ、1度立ち止まった。
ゼェゼェと息が切れ、心臓はバクバク音を走らせている。














___それと同じで、人間も死んでしまったらなにも出来ないからおしまいだって意味なんだよ







へえ、そんなことわざあんだな。物知りだな、Aは……。



呑気にそんなことを考えていたような気がする。







警察官だから体力に自信があるとはいうもののこの階段の長さはさすがに誰でもバテてしまうだろう。
それに、俺はしばらくここで入院していた__いや、現在進行形で入院しているため明らかに体力が前よりも落ちているだろう。

そんな言い訳を頭の中で並べながら、屋上へと再び足を運ぶ。











____だから、私もうおしまいだね?









消えそうな笑顔。
あの白い肌に、透き通った髪と瞳。

儚くて、触れただけで今にも消えてしまいそうで。




まるでガラスみたいだな、なんて思った。








やっとの思いで屋上にたどり着く。
目の前には屋上へ続く扉。あと一歩だ、あとはこの扉を開けたらいいだけ。

ぽつ、と地面に自分の汗が滴った。
妙に緊張している自分がいたのだ。否、嫌な予感(・・・・)がしている、と言った方が正しいだろうか。




ゴクリと生唾を飲み、扉を開けた。

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KILLER(プロフ) - 月見さん» ありがとうございます︎;;そう言っていただけてとっても嬉しいです!新作も是非よろしくお願いします💗🙌🏻 (3月12日 22時) (レス) id: 1035f62a68 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 凄く涙が出ました…!!!語彙力なくて表現し切れませんが兎に角めちゃくちゃ面白かったです!!新作などの予定があれば是非そちらも愛読したいです!!!完結おめでとうございます! (3月11日 7時) (レス) @page28 id: a8d5a980d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:KILLER | 作成日時:2023年3月15日 16時

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