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1日目 ページ1

11月7日。




あの日、俺は爆発に巻き込まれた。
しかし一命をとりとめた。まだ生きてられる、と目を覚ました瞬間ほっと胸をなでおろしたこと、そして萩原がギャンギャン泣きついてきたのをよく覚えている。


そして入院生活もあと少し__残り一週間となった。
医者に「回復力が凄いのであと一週間で十分でしょう」と言われたのである。




とりあえず、早くタバコ吸いてえ。









当たり前だが、病院では喫煙は禁止されている。よく放送でも「院内での喫煙は禁止されています」と流れているくらいだ。

俺も警察官なので、タバコを吸いたいという気持ちと葛藤しながらもそのルールは守る。


気分転換ついでに普段行かない屋上へ足を運ぶ。

柵にもたれかかって、目を瞑る。

警視庁戻ったらまた俺は捜査一課の方に回されんのかな、とか早く萩原たちに会いてえな、とか。色んな思いが次々と溢れかえる。


そんな時だった。




「………あれ?先客?」



「…………あ?」




振り返るとそこには病衣を着た見知らぬ女が立っていた。

推定20代前半、大学生といったところだろうか。
リストバンドもつけているからここの患者ということは確定だろう。

………こうやって人の見た目から手がかりを入手して考察してしまうのは、刑事としての癖だと思う。


そいつはトコトコ歩いて俺の方へ向かってくる。





「おにーさん、いくつ?」




「……アンタよりかは歳上」





こんなところでうろついている変なガキだ。きっと年齢なんて教えたら面倒になる、と思い抽象的に答えた。………と思ったのだが。






「………ふうん、じゃあ30代か」



「………は?ちょっと待て、アンタいくつだよ?」






「29だけど」




「は!?」





まさかの3つも年上である。
背丈だって、顔の幼さだって見るからに俺より歳下に見えたのに。最近は化粧で幼く見える人もよく見かけるが、コイツは別次元。入院してる奴がわざわざ毎日化粧するとは思えないし、コイツの顔は至って真剣である。



「何?私がアラサー独身だから痛いって言いたいの?」


「何もそこまで言ってねえよ……」


「じゃあ何よ」




「………俺の方が歳下だったから驚いただけ」




きょとんと目を丸くしたあと、「ふうん」と悪戯な笑みを浮かべる。するとこちらへ近付いて、俺の顔を覗き込んだ。

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KILLER(プロフ) - 月見さん» ありがとうございます︎;;そう言っていただけてとっても嬉しいです!新作も是非よろしくお願いします💗🙌🏻 (3月12日 22時) (レス) id: 1035f62a68 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 凄く涙が出ました…!!!語彙力なくて表現し切れませんが兎に角めちゃくちゃ面白かったです!!新作などの予定があれば是非そちらも愛読したいです!!!完結おめでとうございます! (3月11日 7時) (レス) @page28 id: a8d5a980d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:KILLER | 作成日時:2023年3月15日 16時

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