アネモネ sho.sakurai (ページ4)

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私が櫻井さんの1歩後ろを歩く。

結局荷物を、持ってくれたのは会社の中だけで、ロビーを出た瞬間から私が持っている。

やはり優しさの欠片もないのかも知れナイ

『櫻井さん、どうやって本社まで行くんですか？』

ふと、気づいた疑問を櫻井さんにぶつける。

「あぁ、俺の車に乗っていくけど」

ゲッ、まだこの人と一緒にいるのか…

思わず肩を落とす。

しばらくすると、櫻井さんの車らしきものが見えてきた。

盾の形をしたフロントグリルが施された車が前方に見える。

おそらくイタリアのアルファロメオであろうか？

外車もかえるとは、一体この人はいくら稼いているのだろう？

本社といえども、こんなに貰えるか？

もしかして、ヤバい組織と繋がっていたりして…

そうこうするうちに、櫻井さんの車に着いた。

「ちなみに、お前が考えているような、やばい組織とは繋がってねぇからな。自分の金で買ったから。」

『えっなんで私の思っていること分かったんですか？』

「いや、わかるだろ。車に向かっていけば行くほど口数は減り、怯えたような顔してるからなぁ、それにお前単純だしなっ」

んっ、最後ディスられたような

とにかくこの人は相当頭のキレる人だということはわかった。

不可抗力で櫻井さんの車に乗ることになった。

沈黙が続くかと思ったが、意外と、蕎麦屋の話で盛り上がった。

「もう、昼ぐらいになるんだけど、蕎麦屋よってもいい？」

『ええ、構いませんが、蕎麦好きなんですか？』

「まぁな、山手線の周りにある、蕎麦屋はだいたい把握してるからな」

『そんな好きなんです？実は私も立ち食いそば屋とか取引先の帰りとかに食べるんですよね』

「お前、それ女として大丈夫か？そんなんじゃ持てねぇぞ」

『いいんです、今は仕事だけで』
『それより！どこの蕎麦屋行きますか？』

「あぁ、俺の行きつけのとこ行くか、ここから近いし」

ほんとにその通り、5分も経つと、目的の蕎麦屋についた。

『あれ、ここよく私来ますよ』

「そうなのか、なら楽だな」

慣れているせいか！ものの15分で、食事を終わらせると、車に戻った。

『はぁー、美味しかったー！！』

「だよな、じゃあ本社行くから。」

『はい。』

蕎麦屋によったおかげで部長の人の温かさに触れたような気がした。

私は知らぬうちに、睡魔の渦へ巻き込まれていった。