触れない、触れられない (ページ9)

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掴めないページ9

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「Aー」

『んー？』

「ここ、教えてくんね？」

授業終わり、私の席に駆け寄ってきたのは亜嵐。

数学はできるのに
化学がとことんできない彼。

サッカー部所属の亜嵐は
お世辞にもそんなに活躍はしてなくて、
でも、一応3年生としてレギュラーに入れたらしい。

ただ、試合の成績が良くないらしくて
次のテストの点数が悪かったら
スタメンから外されるってこの前騒いでたのを思い出した。

確かに、
試合の成績が悪い。
テストの点数も悪い。

そんな人、私が監督でもスタメンにしないわ。

『化学ならルリに聞けばいいじゃん』

「それがさ、見て」

『あー･･･』

ルリさん、爆睡。

『今日朝練の日か』

「ダンス部、毎日キツそうだもんな」

『･･･仕方なし、いいよ。』

せっかくのいいチャンスだけど
疲れてるルリを無理矢理起こすのはさすがに気が引ける。

ダンス部、大会前で気合入ってるのは
部外者の私でも見てわかるし
ルリももちろん、そうだから。

ごめん、ルリ。

『それで、どこ？』

「えっと、さっきやった問題のここが」

涼太「なに、亜嵐くん、勉強？」

『ちょっと！』

涼太「化学なら俺が教えてあげるよ。ほら、亜嵐くんこっち」

「･･･あぁ、うん、」

『気にしないで。たぶん涼太の方が分かりやすい』

「ごめん、ありがと」

横から入ってきた涼太は
亜嵐の教科書とノートをかっさらって
自分の机の上に広げた。

亜嵐はくるり、と反対側に向きを変えて
真剣に涼太の解説を聞いてる。

･･･私をバカって言いたいのか、なんなのか。

ほんとに掴めなくてイライラする。

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