触れない、触れられない (ページ4)

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契約ページ4

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「Aさん、普通じゃないよね」

『･･･え？』

4時間目が終わって
授業の片付けをしていた時

片寄にそう声をかけられた。

「だって、毎日俺が女の子に囲まれてるっていうのに話しかけてきたこと一回もない」

『･･･だからなに？』

「そんな人と隣の席になれたらチャンス、って話しかけるのが普通じゃないの？」

『･･･知らない』

「やっぱりAさん、面白い。ちょっと着いてきて」

『は？』

「いいから」

私の手を掴むことも無く
さっそうと教室を出ていった片寄。

･･･苦手なヤツだけど
一応亜嵐の友達だし
人として無視するのは失礼だし。

急いで片付けて片寄のあとを走って追った。

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『･･･ねえ、屋上は立ち入り禁止だって言われなかったの？』

「立ち入り禁止だからここにしたんだよ」

『･･･は？』

「ほら、みんな集まってきちゃうでしょ？」

『･･･っ、』

片寄は私の方をじっと見つめて
「ね？」と首を傾げる。

･･･ほんと、ヤな男。

『･･･用は？』

「俺と付き合って」

『･･･え、？』

当の本人は
ニコニコ笑って私の反応を楽しんでる。

･･･自分の言ってる意味、分かってんの？

「もう一回言う？」

『い、言わなくていい、』

「じゃあ返事は？」

『無理に決まってるでしょ！
なんで好きでもない人と付き合わなきゃいけないの？』

「だからだよ」

『･･･は？』

「俺はAさんに触れない。これは約束する」

『意味わかんない。ちゃんと説明して』

「俺が女の子から人気なの知ってるでしょ？
それから逃げるためだよ。彼女がいたらみんな冷めるでしょ」

『最っ低。私に得なことひとつもない』

「どうせAさん彼氏いないでしょ？俺と青春できるって思えばいいよ」

何この男！
中身真っ黒じゃん！！

全部上から目線。
それにナルシスト。

私の目は節穴じゃなかった。

みんなに見せてるのは
全部表の顔。

『･･･もし、私が片寄のこと好きになったらどうすんの』

「それはそのときかな」

『･･･』

「断ったらルリさんにするよ」

『あの子はダメ！』

「ふーん」

ルリはだめ。
･･･ルリにはルリの恋があるから。

『･･････わかったから、』

なんでも見透かしてるような横目で
私のことを見つめる片寄に
私は渋々了承してしまった。

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