触れない、触れられない (ページ30)

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きみのことページ30

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『･･･ここだっけ、』

今日は家にお母さんがいるしハルのことは心配ない、と思って
この前涼太に連れてこられた
涼太行きつけのカフェに来た。

どうせ先輩とこの店にいるんでしょ、なんてただの勘。

いらっしゃませ、と店員さんの挨拶に
軽く会釈だけして店内を見回すと
見覚えのある後ろ姿を見つけた。

その向かい側に座る男の人は
少しガタイが良くてちょっと怖そう。

『･･･こんにちは、』

「えっ、A？」

「あ！君が！」

『はじめまして、AAです』

「本物や！めちゃくちゃ可愛ええやん！」

「ちょっと龍友くんやめなよ」

「はじめまして、数原龍友です。いつも涼太がお世話になってます」

『こちらこそ』

涼太の先輩、数原龍友さん。
コテコテの関西弁で
見かけによらず優しそうな雰囲気。

私がここに来たことと、
数原さんの勝手な自己紹介に
軽くパニックになってる涼太は
とりあえずと「いつも言ってる先輩」と数原さんを紹介してくれた。

涼太「･･･それで、なんでAはここに来たの？」

『涼太のこと、知りたくて来た』

涼太「･･･え？」

『涼太、亜嵐の気持ち知ってるんでしょ』

涼太が前に聞いてきた。

亜嵐と手を繋いだことがあるか、って。

私の考えが間違っていなかったら
きっと涼太は･･･

涼太「Aはそんなに鈍感じゃないって信じてたよ。まさかこんなに早いなんて思わなかったけど」

龍友「お前、Aちゃんに話とらんかったんか」

涼太「A、手出して」

『やだ』

涼太「はあ？」

『私は涼太のことが知りたいの』

涼太「･･･やっぱり、Aを選んでよかったよ」

涼太「亜嵐くんがAを好きなこと、俺はずっと前から知ってたよ」

涼太「エリカさんは俺の顔がいいから俺が好き。」

涼太「分かるんだよ。人に触れると、人の気持ちが。」

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