触れない、触れられない (ページ21)

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進路ページ21

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ルリ「ねえねえ！」

『んー？』

ルリ「亜嵐、この前のテストの点数大丈夫だったって！」

『わ！ほんと？！よかった～』

ルリ「だからスタメンのまま試合出れるって！」

『そっか、ほんとによかった！』

ルリ「応援行こうね！」

『もちろん！あ、涼太もね』

クラスの真ん中で
友達とワチャワチャ騒いでる亜嵐を横目に
3人でのんびり話す休み時間。

化学教えたのは俺だ、って
俺のおかげ、なんて天狗になってる涼太。

ルリは3年生、最後の試合で
亜嵐を応援できるのがすごく嬉しそう。

ルリ「でもね、亜嵐、サッカーで進学しないんだって」

『え？あんなにサッカー好きなのに？』

ルリ「別にプロを目指したいわけじゃないって。他にやりたいことがあるんだ、ってこの前言ってた」

『へえ、進路のこと意外と真面目に考えてるんだ。ルリは？』

ルリ「私はずっと言ってた専門に行くよ」

『美容師だっけ』

ルリ「そう！昔から夢だったし。片寄くんは？」

涼太「俺？んー、･･･まだ決めてない」

嘘だね。

絶対嘘。

よくわかんないけど3年生で転校してきて
頭が良くて
それなりに運動もできる。

将来の夢とか決まって無さそうだし
無難に有名な難関大学か
もしあるとするなら留学。

そんなとこかな。

涼太「なに」

『いーえ、なんでも』

涼太「そんなAは？」

『普通に大学』

ルリ「Aなら指定校とれそうだもんね」

『上手く行けばいいんだけどね』

あっという間に夏がくる。

高校3年生。

こうやって過ごす毎日も
あと数える程しか無くなっていく。

ルリ「･･･バラバラになっちゃうの、寂しいね」

教室に吹き込む風はじめっとしていて
夏の前の梅雨の時期を知らせてくれる。

私は雨が嫌いだ。

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