触れない、触れられない (ページ17)

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心配損ページ17

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涼太「俺、彼女いるんだよね」

しん、と静まり返る教室。
廊下の女子たちの声も消えた。

ルリと亜嵐も表情が固まったまま動かない。

少し経って
涼太の周りを囲う集団で小さな笑いが起きた。

バカにするような、
そんな笑い声。

その集団のひとり、エリカが一歩前に出る。

エリカ「やだなぁ、片寄くん。冗談がすぎるって」

「嘘だよね？」と言って
涼太の腕に触れたエリカ。

その瞬間、
涼太はエリカの手を思いっきり振り払って
「やめろ！」と叫んだ。

こんな涼太を見たのは
初めてだった。

そんなタイミングでチャイムが鳴って
先生が教室に入ってくる。

不思議な空気が漂う教室。

みんなは自分の席に座りにバラバラになる。

私もどうするのが正しいのか分からなくて、
普通なら背中に手を当てたりするのかもしれないけど
なんせ私は彼に触れらないし
かける言葉も見つからなくて
あえて何も言わず、何もせず
私も席に着いた。

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朝学活中
涼太はずっと難しい顔をしていた。

『ルリと亜嵐には言わなくていい、誰にも知られなくていいって言ってたのに』

別に何も考えてなかったのに
ポロリ、と私の口からこぼれた言葉。

涼太にとってこのままじゃ良くない。

無意識にそう考えていたんだと思う。

涼太「そんなこと言ったっけ」

『言った。その方が面白いからって』

涼太「･･･知られないと、意味が無いのにね」

『どういうこと？』

涼太「俺が言ったこと、覚えてないの？」

" 俺が女の子から人気なの知ってるでしょ？
それから逃げるためだよ。彼女がいたらみんな冷めるでしょ "

あー、私が朝思い出した言葉だ。

『･･･覚えてる』

涼太「どうでもいいこと覚えてるもんね。大切なこと、忘れるわけないもんね」

『･･･ほんと嫌い』

涼太「なに？」

『ううん、なんでも』

知られないと、意味が無い。

そりゃそうだ。

涼太に彼女がいる、って知られないと
女子は涼太の周りに集まり続ける。

ただ、さっきの様子見てると
全く信じられてないけど。

涼太「あ、」

『･･･なに』

涼太「彼女紹介すんの、忘れちゃったな～」

『･･･あんなの、私って気付くでしょ』

涼太「隣に居ただけで？」

『わざわざ私の隣に立ってきたのそっちじゃん』

涼太「ははっ、そっか」

なんだ。
割と普通そうじゃん。

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