ホワイトデー ページ44
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あの日。
私がお客さんとして来ていた男に襲われそうになった日。
隼くんが助けてくれたあの日。
あの後 隼くんはお仕事でゆっくり話すことが出来なかった。
そんな今日は隼くんとお出かけ。
『おはよう、隼くん』
「おはよう、Aさん」
最近の隼くんは敬語が抜けてきて
タメで話すことが多くなった。
久しぶりに隼くんに会えたのも嬉しいけど、
タメ口になってきたことさえも嬉しく感じる。
最近の私はちょっと変だ。
『今日はどこに行くの?』
「んー、内緒かな」
『ふふっ、楽しみにとこーっと』
隣を歩く隼くんが何も言わずにそっと手を繋いでくる。
目が合うとニコ、って笑ってくれた。
その表情は無邪気で でも少し大人っぽくて。
私は滅多にテレビなんか見ないからわからないけど
きっとファンの子からしたら私ってすごいことしてるんだろうな、なんて考えてしまう。
「ねえ?」
『ん?』
「この間、酔ってたAさんを俺が迎えに行った日」
『・・・その説は大変お世話になりました、』
「・・・その日、Aさんが俺に言ったこと、覚えてる、?」
『・・・ごめん。あの日、私相当酔っちゃってたみたいで、隼くんに送ってもらったこともあやふやなの。だからなんて言ったかなんて覚えてないや・・・。』
『・・・私、なんて言って「着いた!」
なんて言ってた?
そう聞きたかった私の言葉は遮られ
隼くんの指をさす方に目を向ける。
『・・・海、!』
太陽の光が水面に反射してきらきらひかる
砂浜に押し寄せる波の音が気持ちいい。
もう春の陽気を感じる3月半ば。
太陽のあたたかさと海風が心地いい。
もうすぐ春が来るな、なんて考えて。
桜が咲いたら隼くんとお花見したい、とか、
コーヒーは隼くんが淹れて、私がお弁当を作って、とか。
私の頭の中は隼くんでいっぱいだ。
「Aさん、海好き?」
『うん、好き!』
よかった。
そう微笑む隼くんにまたひとつ惹かれていく。
「ちょっと座って話そう?」
握った手はそのまま、
岸に上がっていた丸太に二人並んで腰掛けた。
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くるみ。(プロフ) - 彩華さん» わー!ありがとうございます! (2020年4月16日 9時) (レス) id: dcb2ebda86 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 早速読んじゃいました!アマリリス(^_^)こっちもとっても素敵なお話でした!続編楽しみです! (2020年4月16日 5時) (レス) id: 303c26c9ac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ。(プロフ) - 愛さん» あらあら笑 (2018年12月26日 20時) (レス) id: dcb2ebda86 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 北人くんともくっついて欲しくなりました(笑) (2018年12月26日 2時) (レス) id: d15d3a289f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ。 | 作成日時:2018年9月12日 5時