わかりあえない ページ2
「……居なくならないで。」
トガちゃんの優しさに浮かされて口をついて出た一言。
ぽかんとしたトガちゃんを見てやってしまったと悟る。
いつヒーローがやって来るかわからないからトガちゃんはあの日からずっと浅い眠りにしかつけていない。
原因は多分私。
トガちゃん1人ならきっとすぐに逃げられるけど私は…プロに敵うほどの運動神経なんてない。
トガちゃんの大きな隈を見るたびに胸が締め付けられる。
守られて、迷惑をかけてばっかりで何もしてあげられない。
敵連合という仲間も居場所を見つけた今、私はトガちゃんにとって必要なの？
ぐるぐるとネガティブな思考がやめられない。
呼吸が荒くなって手首が痒くなる。
弱すぎるところが嫌い。被害者ぶってるところが嫌い。努力が足りないところ。大好きなトガちゃんの真っ直ぐさ優しさにまで嫉妬してるところ。
＿＿＿＿不意に腕を掴まれる。
いつのまにか血が出ていた手首に ちゅ、と口付けを落とされふわりと抱きしめられる。
「Aちゃんはなにも悪く無いよ。トガはAちゃんのこと大好きです。」
あったかいトガちゃんの体温。落ち着く匂い。幸せで、今ならもう
「ころしてよ」
ヒュと喉に空気が詰まる。
Aちゃんの心が掴めなくて悲しいはずなのに、どうしようもなく嬉しくて。
時間はたくさんあるから、ちゃんと話し合ってからでも大丈夫。
心を落ち着かせてみても手が枕元のナイフに伸びる。
どくどくと心臓が脈うって頬が上気する。今までちゃんと我慢できてたのに。
「やっと一緒になれるね。」
どうしようもなくAちゃんが可愛くて、綺麗なカーブのAちゃんの喉元にナイフを押し当てて、
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作者名：よん | 作者ホームページ：http://nanos.jp/4a490/page/1/
作成日時：2022年12月7日 21時
