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定時から２時間過ぎた夜８時。
誰もいないサロンで一人、パソコンに向かって打ち合わせ内容を記録していく。
カタカタとキーボードを打つ音だけが響く部屋に、聞き慣れた革靴の音がした。
それはサロン入口で音を止めて。
歩く音で誰だか予想はついていたけど、一応目線を向けた。
「お疲れ。」
扉に背中を預けて腕を組んで立つその人。
このサロンの最高責任者の登坂課長。
また無表情で私を見てくるから、胸が騒いでしょうがない。
短い髪を無造作にセットして、紺のスーツに青いドット柄のネクタイを少し緩めて。
立ってるだけで画になる綺麗な顔。
このホテルの従業員で彼を知らない人は誰ひとりとして居ないと思う。
女子社員の人気は彼が独占状態。
つい最近のバレンタインには両手で抱えきれないほどのチョコを持っていて、そのモテぶりはえげつない。
「お疲れ様です。課長もまだいらしたんですね。」
「来週のブライダルフェアに雑誌の取材入ることになったから。その打ち合わせ。」
「取材ですか？」
「ブライドがうちを特集したいって。」
「凄いじゃないですか。特定のホテルを特集なんて今までないですよね。」
「お前嬉しそうにしてるけど、特集なんかされたら今より式が増えるんだかんな。残業も多くなるだろうし、負担が増えること覚悟しとけよ。」
「………その特集、取り下げてもらえないんですか？」
「拘束時間が増えたんじゃ、お前の楽しみも減るかもしんねぇしな？」
「え？」
課長は悪戯な笑みを浮かべて
「………早く来いよ。」
そう言い残してサロンを出ていった。
私の楽しみ……。
仕事のあとに飲みに行く時間が減るのは困るし、自分の時間がなくなるのも大いに迷惑。
家に帰って録画した番組を観て、半身浴したりセルフエステをしたり、女磨きをするのも私にとっては大事なこと。
それに……アレは、もっと……大事。
月に２、３回。
休みの前日、水曜日の夜。
人目を盗んで駆け込む客室用のエレベーター。
途中何度も止まる箱からお客様が降りていくのをこっそり見送って、私が降りるのは最上階。
１３１２号室。
ベルを鳴らせばすぐにゆっくり開く部屋のドア。
俯く私を迎えてくれるのは
「お疲れ。」
登坂課長。
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mxxchqn(プロフ) - 大好きです！頑張ってください(*ﾟ▽ﾟ*) (2018年12月1日 1時) (
レス) id: 448d83b4a9 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - omikoさん» コメントありがとうございます。2章が始まりました。ぜひ読みに来てくださいね。まだまだこれからです(^^) (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あゆはさん» あゆはさん初めまして。コメントありがとうございます。タイトルまで気に入っていただけて感激です。岩ちゃんグイグイ来てますからね〜次は何を仕掛けてくるのかな？また2章も読みに来てくださいね。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんはそうだろうなぁと予想してました(^^)隆二をお楽しみに！ (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あいさん» 初めまして。コメントありがとうございます。2章もぜひ読みに来てくださいね。まだまだ楽しんでもらえるように頑張ります。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみ
| 作成日時：2018年7月15日 22時
