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昼下がりの外を歩くのはいつぶりだろう。
休みの日に外出するのは日が暮れてからばかりで、暖かい陽を浴びるのは気持ちいいものだなぁと改めて思う。
大通りから路地を曲がって住宅街に差し掛かると、黄色い帽子を被ってランドセルを背負う小学生が並んで歩いてる。
なんの混じりもない純粋な笑顔で楽しそうに会話をしながら下校する子供たち。
悩みなんてないんだろうなぁ。
あったとしても宿題やりたくないとか、ゲームがなかなかクリアできないとか……小さな小さな悩みなんだろう。
その子にとってはとっても大きな事だろうけど。
解決策も見出せない私からしたら、こんな事言ったら怒られちゃうけど、ちっぽけだ。
他の誰かから見れば私の悩みも、ちっぽけなのかもしれないけれど。
1時間以上歩いてやっと家に着いた。
運動不足の私には結構堪える距離。
何もする気力がなくてベッドに倒れ込んでそのまま眠った。
目を覚ましたのはスマホの着信音が聞こえた時だった。
「……もしもし、」
「あ、俺、岩田。Aさんまた寝てた?」
着信の相手はまた岩田くん。
毎度モーニングコールありがとね。
「うん寝てた……どうしたの?」
「昨日大丈夫だった?隆二さんに何かされてない?」
「何もされてないよ。」
何かしたのは、私だから。
酔ってひざ枕で寝た上に、グダグダなお悩み相談までしちゃって。
今度ちゃんとお礼しなきゃ。
「あー、良かったぁ。隆二さんだらしないとこあるって自分で言ってたから。」
「相手によるんだよきっと。岩田くんの用事ってその事?」
「そうだよ。仕事中も気になってしょうがなかったんだから。それに……Aさんの声も聞きたくて、電話しちゃった。」
「岩田くんって付き合ったら毎日電話するタイプでしょ。」
「そりゃねぇ。付き合ってなくても俺は毎日Aさんと電話したいと思ってるけど。」
私も同じく、毎日電話したいタイプだけどね。
そんな事言ったら本当に毎日電話が来そうだからあえて言わないでおくけども。
「今度いつ会える?」
「…………また連絡するよ。」
岩田くんが望んでる応えじゃないことはわかってる。
「うん、わかった。またね。」
無理矢理明るく振る舞ってるのもわかってる。
好きな人に振り向いてもらえないもどかしさを私は一番わかってあげられる。
だから岩田くんには、ちゃんと言わないと。
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mxxchqn(プロフ) - 大好きです!頑張ってください(*゚▽゚*) (2018年12月1日 1時) (レス) id: 448d83b4a9 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - omikoさん» コメントありがとうございます。2章が始まりました。ぜひ読みに来てくださいね。まだまだこれからです(^^) (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あゆはさん» あゆはさん初めまして。コメントありがとうございます。タイトルまで気に入っていただけて感激です。岩ちゃんグイグイ来てますからね〜次は何を仕掛けてくるのかな?また2章も読みに来てくださいね。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんはそうだろうなぁと予想してました(^^)隆二をお楽しみに! (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あいさん» 初めまして。コメントありがとうございます。2章もぜひ読みに来てくださいね。まだまだ楽しんでもらえるように頑張ります。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2018年7月15日 22時