38 隆二side ページ38
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「だからAもドンと来い。俺のこと壁だと思って独り言みたいに吐き出しなよ。」
「……隆二にそう言われると……なんだろ……甘えたくなっちゃう。」
俺を見てAは困ったような顔で笑う。
サバサバしてて、一人でちゃんと立って生きてて、意地っ張りで、明るい女の子。
そんな彼女が初めて見せた弱った姿。
そんな事言われたら放っとけないし、素直に甘えさせてあげたい。
今Aの隣に居るのは俺で、救いの手を伸ばした先も俺。
たとえ岩ちゃんの想いを知ってたって、優しくしたくなる衝動は止められない。
「好きなだけ甘えていいよ。」
「……隆二は、優しいね。」
ジュースを一口飲んで靴を脱いだAは体育座りをして爪先を握った。
曲げた膝におでこを乗せて俺を視界から消すように下を向いた。
独り言……こっからはAのひとりごと。
そして俺は壁だ。
「…………隆二は岩田くんが私に気があること知ってるんだよね?」
知ってるよ、全部。
いつから好きで、どこが好きなのかも。
「昨日の岩田くん見れば、知らなくても気づくもんね。」
岩ちゃんに手握られてたしね。
「岩田くんの気持ちは……素直に嬉しい。あんな直球で好きって言われたらグラつくし、舞い上がっちゃうよ。」
あの顔だしね。
「でも……応えられない。岩田くんの気持ちには。」
やっぱりそうなんだ。
「…………好きなんだもん。課長のこと。」
Aのことが見れなくて思わず天井を見上げた。
なんだ?俺。
「でも課長は…………私のことなんて、たぶん……絶対好きじゃない。課長はモテるから他にも女がいるかもしれないし……」
それでも好きなんだ。
「……あんな風に他の女にも……触ってるのかな。」
触られてんだ、あの人に。
「一回だけで終わらせたかったのに……。」
深い関係ってことか。
カラダだけの。
「もう……割り切れないよ。仕事でも顔合わせて、会うたびにドキドキして。嫌いになれたらいいのに……好きにしかならないよ。」
課長さん、あなたは罪な男だよ。
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mxxchqn(プロフ) - 大好きです!頑張ってください(*゚▽゚*) (2018年12月1日 1時) (レス) id: 448d83b4a9 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - omikoさん» コメントありがとうございます。2章が始まりました。ぜひ読みに来てくださいね。まだまだこれからです(^^) (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あゆはさん» あゆはさん初めまして。コメントありがとうございます。タイトルまで気に入っていただけて感激です。岩ちゃんグイグイ来てますからね〜次は何を仕掛けてくるのかな?また2章も読みに来てくださいね。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんはそうだろうなぁと予想してました(^^)隆二をお楽しみに! (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あいさん» 初めまして。コメントありがとうございます。2章もぜひ読みに来てくださいね。まだまだ楽しんでもらえるように頑張ります。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2018年7月15日 22時