30 隆二side ページ30
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「私……もう飲めない。」
真っ赤な顔をしてテーブルに顔を伏せたA。
「帰る?」
「………」
俺が声をかけてもAは返事をしなくなった。
「あーあ、隆二さんがテキーラなんか飲ませるから寝ちゃったじゃん。今日は朝までコースの予定だったのにさぁ。」
「俺じゃないじゃん。勝手に飲んだのAだし。」
健ちゃんも加わって話が盛り上がって、テーブルには片されないグラスがいくつも並んだ。
ごちゃごちゃになったグラス。
健ちゃんと言い合いをするAが無意識に取ったのは、俺が飲んでたテキーラ。
「あ、Aそれ、」
グラスを奪おうと手を伸ばしたけどもう遅くて。
「うわ、なにこれ……マッズ…」
まだ半分残ってたテキーラを勢いよく飲み干した。
でもこれって、止められなかった俺も悪いのか。
岩ちゃんの言うとおり。
「Aさん、ちょっと横になろう?」
岩ちゃんはAの腰を支えて後ろにあるソファーに寝かせた。
眠る彼女の髪を撫でてカウンターに戻ってきた。
椅子に座りながらも後ろを向いてAを見つめる岩ちゃんは穏やかな顔をしてる。
俺の前じゃ見せない好きな人を見る目は、優しくて少し切ない。
「岩ちゃんさ、ずっとAの手握ってたっしょ。」
「えっ、バレてた?」
「うん、普通に見えてた。」
「まぁいいけど。隆二さんにマジで妬いてたかんね俺。」
「岩ちゃんが好きなホテルのお姉ちゃんって、Aのことだったんだ。」
「隆二さんマジでお願い!」
「なに?」
「Aさんに手出さないで。俺本気だから、Aさんのこと。」
俺に体を向けて言った岩ちゃんは本当に真剣な目をしてた。
言われなくてもわかってるよ、そんなこと。
岩ちゃんがAをどれだけ好きか俺だってちゃんと理解してるから。
相手がどんな子かは顔も知らなかったけど、岩ちゃんは会うたびにその子の話をしてきて。
また告白を流されただの、飲んだらすぐ帰っちゃっただの。
よくそんな好きでいられんなぁって思うくらい玉砕してばっかの話をしてくる。
それでもめげずに追いかけられるほど本気の恋っていうのも、正直羨ましいとは思う。
後先ばっかり考えて慎重になる俺には、岩ちゃんの行動力はカッコよく見える。
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mxxchqn(プロフ) - 大好きです!頑張ってください(*゚▽゚*) (2018年12月1日 1時) (レス) id: 448d83b4a9 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - omikoさん» コメントありがとうございます。2章が始まりました。ぜひ読みに来てくださいね。まだまだこれからです(^^) (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あゆはさん» あゆはさん初めまして。コメントありがとうございます。タイトルまで気に入っていただけて感激です。岩ちゃんグイグイ来てますからね〜次は何を仕掛けてくるのかな?また2章も読みに来てくださいね。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんはそうだろうなぁと予想してました(^^)隆二をお楽しみに! (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あいさん» 初めまして。コメントありがとうございます。2章もぜひ読みに来てくださいね。まだまだ楽しんでもらえるように頑張ります。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2018年7月15日 22時