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「健ちゃーん、お水ぅー。」
「おー、来たな酔っ払い。」
「今日はそんなに酔ってないー。もう冷めちゃったもん。」
「また連れ回されたんか?子犬系モデルに。」
「カラオケ3時間。もう疲れちゃった。」
「あいつ好きやなカラオケ。まぁお疲れ。」
「うん、ありがとー。」
ここは街中の外れにある地下のBAR。
朝方までやってるこの店は私にとっての休憩所。
仕事終わりに寄って、マスターの健二郎と話して。
家に帰らずここで寝ることもあるし、もう一つの自宅だと勝手に思ってる。
「なぁ、そのバッグ、また貢がせたんか?」
カウンターから身を乗り出して、イスに置いたバーキンを健ちゃんは興味深そうに見てる。
「その言い方やめてー。私にってわざわざパリで買ってきてくれたんだからね、プレゼントって。」
「どうせ下心付きやろ?」
「それはどうかわからないけど。」
「女になにも見返りナシでブランドもん渡すやつおるか?」
「でもあの人ならアリかもー。かなりイケメンだし。」
「へぇ、誰なん?」
「健ちゃんには言いませーん。」
「あっそうですかー。どうせどっかのボンボンか社長やろ。」
「え、なんでわかったの!?」
「普通にわかるやろ。ブランドもんを好きでもない女に買ってやるなんて、金が有り余ってしゃあない奴しかおらんやろ。」
「私も金が有り余ってしゃあないから誰かに貢ごうかなぁ。」
「おー、俺欲しい釣り竿あんねんけど。」
「健ちゃんに貢ぐわけないじゃん。好きじゃないし。」
「ケチやなお前。で、どこの社長なん?それとも息子か?」
もー、しつこいなぁ健ちゃんは。
「だから教えないってば。今日はもう帰る。眠くなっちゃった。」
教えないよ本当のことなんて。
ボンボン息子でもなければ社長でもないし。
「おー、気をつけて帰れよ。」
「はーい。」
バーキンを手に持って健ちゃんに手を振って。
入口のドアを引こうとノブに手をかけたとき。
「さみぃー。」
って声が聞こえたのと同時に勢いよくドアが私を目掛けて開いた。
酔ってる時って反射神経が鈍ってて、ドアを避けられず……
おでこにドアがぶつかって、にぶーい音を立てた。
………いったぁい。
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mxxchqn(プロフ) - 大好きです!頑張ってください(*゚▽゚*) (2018年12月1日 1時) (レス) id: 448d83b4a9 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - omikoさん» コメントありがとうございます。2章が始まりました。ぜひ読みに来てくださいね。まだまだこれからです(^^) (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あゆはさん» あゆはさん初めまして。コメントありがとうございます。タイトルまで気に入っていただけて感激です。岩ちゃんグイグイ来てますからね〜次は何を仕掛けてくるのかな?また2章も読みに来てくださいね。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんはそうだろうなぁと予想してました(^^)隆二をお楽しみに! (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あいさん» 初めまして。コメントありがとうございます。2章もぜひ読みに来てくださいね。まだまだ楽しんでもらえるように頑張ります。 (2018年9月7日 16時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2018年7月15日 22時