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「Aー、課題どこまで進んだ?」
「全然だよ。あと半分残ってる。」
「マジで!?明日までに出来んの?それ。」
「今日死ぬ気でやる。」
「って、私も終わってないけどー。」
今日はバイトがお休み。
だから家でたっぷり寝ようかなと思ってたけど、重要なことを忘れてた。
授業で出された課題が残ってたことを。
一番仲のいい優ちゃんと、被服室にこもって只今作業中。
私が通うのは家政学部の服飾科。
将来はアパレルブランドで自分が作った服を売りたい。
「うわっ、縫い目グチャった。」
「どうしたらそうなんの!?ほんとAって不器用だよねぇ。」
そう、私は手先が少々ぶきっちょ。
優ちゃんが難なくこなす作業を私は何度も失敗を繰り返し、時間が相当かかる。
将来が、若干不安だ。
最初こそ喋りながら作業してた私と優ちゃん。
時間が経つにつれて口数は減って、課題に集中してた。
「A、外もう真っ暗だよ。まだ終わらない?」
「うん、もう少しかかりそう。優ちゃん先に帰っていいよ?」
「あとは家でやったら?」
「……んー、そうするしかないかぁ。」
最悪だぁ。
家に持ち帰ると私はどうもダメ。
ついテレビを見てしまったり、スマホをいじってしまったり。
集中力が続かない。
でも外はもう真っ暗で。
時計を見れば夜の8時を過ぎてた。
……もう帰ろう。
後片付けをしてる時だった。
「もしもし?」
スマホに着信が入ったのは。
画面に表示されたのは未登録の番号だった。
………誰だろう。
「あっ、俺……今市。」
「……隆二さん?」
相手は思いもよらない人だった。
「お前、今日店?」
「違いますよ。今日はお休みなんで。」
「そうなんだ………今どこいんの?」
「………大学ですけど。」
「モモって学生なの!?」
「……です。」
「どこ大?」
「………緑ヶ丘大学。」
「ん、わかった。すぐ行くから待ってて。」
「え?」
なに?どういうこと?
「モモちゃん指名入りまーす。」
「はい?」
「飲みに行くぞって意味だよ。じゃーな。」
「えっ、あっ、ちょっと!」
私の返事を聞かず隆二さんは電話を切った。
なんて強引な人……。
でも、なんだか嬉しい。
お店以外でも会えるんだって、胸がワクワク弾む。
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☆まぁ☆(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませて頂いています(*^^)他の作品も全部ステキですが,こちらの続きも楽しみにしています(*^^) (2019年3月10日 0時) (レス) id: 0222ecc7f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2018年6月30日 10時