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「送迎の車、少しかかるって。モモカちゃん、お店に戻ってよっか?」






やっとの思いで外に出たっていうのに、帰りの送迎車はまだ来ないみたい。




店に戻るとか、もう歩きたくないなぁ。


………めんどくさい。






「私ここで待つからー、マリヤしゃん戻ってていいですよ?風邪ひいちゃいますから。」




「ほんとに?大丈夫?」




「酔いも冷ましたいので大丈夫でーす。」




「じゃあ、私戻るからね。」




「はーい。」







お店のドアの前で、一人冷たい夜風にあたる。


熱くなった顔が徐々に冷やされて、酔いも少しずつ冷めてきた。






「……水飲みたい。」







アルコールが抜けてきたからか、急激に喉が渇いて。


近くのコンビニで水を買った。


自動ドアを出てすぐにペットボトルのキャップを開けて、口に含もうとした時だった。






「俺タバコ買ってくるわ。」






そんな声が聞こえて、左肩にドンッと鈍い痛みを感じた。






「うわっ」


「おっと」





その瞬間、私と彼の声が重なって。


右手に持ってたペットボトルが勢いよく手をすり抜けて地面に転がった。





………私のお水。


108円の格安のお水。


たった108円だけど、私には無けなしのお金なのに。


虚しくドボドボと地面に流れていく。






「ごめん、平気?」





しゃがんでペットボトルを拾う私に、ぶつかった彼は声をかけてきた。





……平気なわけないじゃん。


返せ!返せ、私の108円!



言葉を口にせず、立ち上がって彼をギロっと睨みつけた私。






「そんなに痛かった?」



「はい?」



「お前、泣いてんじゃん。」






悔しさのあまり涙を流してた。


それもまた悔しい。



水一本に、なに泣いてんの。






「そんな痛いなら、病院行くか?」





そう言って、彼は私の左肩に触れた。


咄嗟に肩を引いて、彼から一歩後ずさった。






「肩なんて痛くないんで大丈夫です。」



「ならなんで泣いてんだよ。そんな顔されたらほっとけねぇだろ。」





彼はすごく困った顔をした。






「肩じゃなくて………お水、飲みたい。」






困ってるのは私も同じなの。


ノドがカラッカラで、もうしんどいの。






「あぁ……悪い。ちょっと待ってて。」





私が握りしめてた空っぽのペットボトルを見て、彼はコンビニに入っていった。





黒いワイシャツに黒いスーツを着た彼は、店内の照明に照らされて。



………かっこいい。

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☆まぁ☆(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませて頂いています(*^^)他の作品も全部ステキですが,こちらの続きも楽しみにしています(*^^) (2019年3月10日 0時) (レス) id: 0222ecc7f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるみ | 作成日時:2018年6月30日 10時

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