assorted LOVE (ページ32)

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瞳を閉じたら浮かんでくる隆二くんの顔。

長いまつ毛だったなぁとか、薄いわりには柔らかい口唇だったなぁとか。

昼下がりの中庭でしたキスが忘れられなくて、教室に戻ってからも窓から外を眺めてニヤつくばかり。

ついさっきまで一緒にいたっていうのに、もう会いたい。

隆二くんも同じことを思ってくれてたら嬉しいな。

「………人目のつくとこでキスとは今市隆二もやり手だねぇ。」

「……………見てた？」

「そりゃねぇ、あんな学校のど真ん中でやってりゃ嫌でも見えると思うけど。」

「……だよね。」

５時間目が始める直前、友佳は私の机に頬杖をついて不敵な笑みを浮かべる。

誰からも声をかけられなかったせいで、見られてなかったんだと安心しきってたけど。

さすがに友佳は見てたみたい。

小っ恥ずかしくて苦笑いしか出ない。

「なんなのあれは？今市隆二と付き合ってんの？」

「ん？」

「なに？」

「………なにも言われてない。好きとか付き合ってとか、私言われてない。」

「え、なにそれ。じゃあなんでキスしてたの？その場の雰囲気とか言わないでよ？」

「………わかんない。」

可愛いと思ってたって言われて、一緒に帰ろうって言われて……。

それって私に好意を持ってくれてるって解釈してたけど。

勝手な思い違いだったらどうしよう。

すんごく舞い上がってたけど、今となっては不安要素がいっぱいじゃん。

なんで隆二くんはキスをしたんだろ。

私は好きだからキスを受け入れた。

あの瞬間だけは言葉がなくたって両思いなんだって確信しちゃうような時間が流れてた。

「本人にちゃんと聞いてみなよ、私のことどう思ってるのって。うやむやなまま、やられっぱなしは後々引きずるからね。」

「……うん。」

「あ、あとさ、お願いがあるんだけど。」

「お願い？なに？」

「今日のバイト代わってくれない？急遽パパが半年ぶりに帰ってくることになって家族で外食するらしくて。」

「そうなんだ、友佳のパパ単身赴任だもんね。いいよ、大丈夫。」

「ほんとごめんね！お礼になにか奢るからさ！」

全然大丈夫じゃないけど、こんな時はしょうがない。

隆二くんとはバイトが終わったら電話で話せるし。

LINE入れとかなきゃ……。

＂バイト入っちゃって一緒に帰れない。ごめんね。＂

せっかく誘ってくれたのに、残念。