assorted LOVE (ページ29)

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「Aー、おはよー。」

「あ、友佳おはよ。」

「何してんの？そんなとこで。」

「うん……ちょっと。」

「ちょっとって？なに？あっ、まさか待ち伏せ？誰？今市隆二？」

「友佳声でかい！」

登校時間の昇降口。

下駄箱前の廊下に立つ私に友佳は声をかけてきた。

デカい声で騒ぐから通りすがる生徒達はこっちを見て笑ってる。

恥ずかしいなぁ、もう。

「あっ、来たよ今市隆二！」

「えっ！？」

友佳が見た方に目をやると、友達と話しながら昇降口に入ってくる隆二くんがいた。

「…隆二くん！」

私が駆け寄ると笑顔を向けてくれた。

朝から爽やかで、胸が熱くなる。

「先輩おはよ。」

「おはよ。」

「どうしたの？俺のとこ来てくれるなんて珍しいじゃん。」

「うん……あのね、これ……作ったの。」

持っていた紙袋を差し出すと隆二くんは中を覗いて固まった。

な、なんで？

もしかして、引いちゃった？

「……弁当？」

「……ハムサンド。」

「……先輩が作ったの？」

「うん、マヨネーズはお店のだけど。」

「……ごめん、」

「えっ？」

「超ビビった……なんか、感動。」

私を見て隆二くんは今まで一番、嬉しそうに笑った。

引かれちゃったのかなって不安だった気持ちは一瞬にして吹き飛んでった。

「昼休みにでも食べて？」

「……ありがとう。」

「…………隆二くん？」

喜んでくれたわりに返事は鈍いし、紙袋を受け取ってくれない隆二くん。

どういうこと？

「それ、昼休みにちょうだい。」

「……昼休み？」

「中庭で待ってるから。」

「……うん。」

友達の前で誘われたことが恥ずかしくて俯いたら、近づいてきた隆二くんは耳もとで＂一人で来てね＂って。

誰にも聞こえない小さな声で言った。

耳に息がかかって全身に火がついたように火照った。

昼休み、中庭に。

紙袋を持って隆二くんの姿を探した。

「せーんぱーい、ここ、ここ！」

「あっ、うん。」

中庭の中央に立つ一本の木の下で芝生に座る隆二くんが先に私を見つけてくれた。

やっぱり笑顔で手を振ってくれて。

嬉しくて小走りで彼の元に向かう私も笑顔で手を振った。

生まれてからまだ１７年と短いけれど、今が一番楽しい。