assorted LOVE (ページ28)

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＂バイト終わったよ。＂

お店を出てすぐにLINEを送った。

バイト中も気づいたら隆二くんのことを考えてて、早く終わらないかなぁって思うほど、時間はなかなか進まなかった。

スマホを握りながら歩いていたら着信を知らせる音が鳴る。

相手はもちろん隆二くん。

フゥッと一呼吸おいてから電話を繋いだ。

すぐに出たら待ってたのがバレちゃいそうだし、年上の余裕を見せたい、なんて無駄な意地を張った。

「……もしもし？」

「あ、もしもし、隆二です。」

「うん、わかってるよ。」

「もう家？」

「ううん、もうちょっと。まだ外歩いてる。」

「一人？」

「うん。今日は同じ方向の人誰もいないから。」

「うちすぐ近いし行こうか？」

「えっ、いいよ、そんなわざわざ……もう家に着くし、大丈夫。」

「ほんと？」

「うん、ほんと。」

家に着くとこは本当。

でもほんのちょっとだけ嘘をついた。

本当は……来てほしいなって思った。

もう少し早くLINEしとけば良かったなって後悔した。

「いつも一人で帰ってんの？」

「ううん、今日はたまたま。いつもは先輩がいるから。」

「へー。ならいいけど。一人ん時は呼んでよ、送るから。」

「……うん、ありがとう。」

「先輩明日バイト？」

「明日はー………バイト。明日もバイトだー。」

「なにその言い方、超イヤそうじゃん。」

隆二くんと話す帰り道はなんだか楽しくて、明日のバイトも頑張れそうな気がするよ。

この日から私の人生は色付いたように思う。

一人の男の子との出会いが、学校とバイトだけのつまらない青春に、花を咲かせた。

学校で会えば、＂Aセーンパイ＂って声をかけてくれるし、遠くにいても笑顔で手を振ってくれる。

バイトの日には、予定がなければお店に来て好物のハムサンドを食べて帰ってく。

そんな毎日が１ヶ月が経った頃、私からも電話をするくらい仲は良くなった。

でも、バイトの帰りに来てほしいって、その言葉だけは言えずにいた。

私は彼女でもないのに、甘えちゃいけない。

＂彼女じゃない私＂

隆二くんとの微妙な距離が、可愛げのない私を作り上げてしまう。

こんな事を考えてしまうのは、きっと、隆二くんに恋をしたから。

いつの間にか私、好きになってたんだ。