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「あ、うん。友佳立って?」
「……うん。」
痛そうに頭を摩る友佳を背中に乗せて、カレは保健室へ向かった。
私も後を追って歩く。
……こんな子居たっけ?なんて思いながら。
名前なんていうんだろう。
1年のわりには大人っぽいというか、落ち着いてそうな雰囲気で。
臣くんとは違ってスポーツマンでも無さそうだし、爽やかでもなくて。
どちらかというと、こってりしたしつこい顔つき。
まぁ、私の好みの顔ではない。
おまけになんかちょっと怖いし、近寄りがたい人だな。
でもそれは私の勝手な偏見だということがすぐに判明した。
保健室に向かう廊下。
何人もの同級生がカレに声をかけてた。
「あれ?どこ行くの?」
「保健室。人命救助してんの俺。えらくない?」
「自分で言っちゃうとこがイヤー。」
「うっせぇ、チービ。」
「うっせぇ、ヒゲ男爵。」
なんてどえらい会話をする女の子もいたりして。
でもみんなカレと話す時は笑ってて、楽しそうだった。
保健室に着いて、友佳を先生に任せて。
部屋を出ていこうとするカレを追いかけた。
「あの、どうもありがとう。」
廊下で声をかけたら、振り向いたカレはおでこに汗をかいてて。
「汗すごいからこれで拭いて?あ、これ、全然使ってないから!」
「あー、すいません。」
カレは私が渡したタオルを受け取って汗を拭いた。
「これ洗って返すんで、預かってていいっすか?」
「え、いいよ別に洗わなくても。」
返してもらおうと手を出したけど、頑なにカレはタオルを手放さなかった。
「ひとつ聞いてもいいすか?」
タオルを握ったままカレは真剣な目を向けてきた。
「うん、なに?」
「………先輩も、臣のこと好きなんですか?」
「え?臣くん?」
「いつも見てますよね臣のこと。」
「違う、違う!私は臣くんに興味ないけど、ほら、運んでもらった子!友佳が臣くんのファンで、しょうがなくだよ!」
「………そうっすか………やべぇ。」
俯いたカレは口に手を当てて、
「………ちょーにやける。」
って、耳を真っ赤に染めた。
その姿が可愛いなって胸がキュッとして。
だから、カレが私のことを知っていたなんて、この時の会話では気づかなかった。
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☆まぁ☆(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませて頂いています(*^^)他の作品も全部ステキですが,こちらの続きも楽しみにしています(*^^) (2019年3月10日 0時) (レス) id: 0222ecc7f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2018年6月30日 10時