assorted LOVE (ページ16)

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親指は乾いたほっぺを滑りつづける。

もう涙は流れていないのに。

さては動揺してるな？

可愛いな、隆くん。

「アイツのこと好きなんだよね？」

「成瀬くん？」

「うん。」

全部話すからちゃんと受け止めてね。

「成瀬くんのこと好きになろうとしてた……なれたら楽になれるかなって思ってたから。」

「楽になれるって……なに？」

「片思いだと思ってたから……隆くんのこと。私は友達以上になんてなれないんだろうなって思ってたんだよ。だから苦しくて……忘れちゃいたかった。」

「……そっか。」

＂そうだったんだ＂って呟いた隆くんを見たら、悲しそうに眉を下げて私を見てた。

私は握った手に力を込めた。

そしたら、やっぱり隆くんも握り返してくれた。

好きでいてよかったって心から思う。

「忘れないで……俺のこと、これからもっと好きになって。」

「今より？今でも……大好きだよ？」

私がそう言うと隆くんは照れたようにハニかんで。

「……キスしたい。」

急に艶っぽい声と瞳に変わった。

こんな色気のある隆くんなんて初めてで、全身がドキドキうるさい。

やだっ、すっごく恥ずかしい。

「無理だよ！お兄ちゃんいるし！」

近づいてくる隆くんを慌てて手で押さえたら、私を通り越して奥のキッチンに目を向けた。

「居ないけど。」

「え！？うそ！？」

「二人っきりにしてくれたんじゃん？優しいよねぇほんと。」

姿を確かめようと振り向いてキッチンを見たらお兄ちゃんは本当に居なくて、カウンターの隅に作ってくれたパスタと鍵だけが置いてあった。

お兄ちゃん……今は気を遣わなくてよかったのに。

「A、こっち向いて。」

「………えっ、」

どうしよう、ほんと無理。恥ずかしすぎるよ。

隆くんとキスなんて……。

きっと私今、顔真っ赤だよ。

「キスくらいでそんな照れんなよ。」

「別に照れてない！」

軽い挑発に踊らされた私はムキになって隆くんに顔を向けた。

その瞬間、隆くんと私の口唇が重なった。

ちゅっと可愛い音を立てて離れた隆くんは、満足そうにニコリと笑った。

「そんなんでキス以上のことなんか出来んの？」

「は？キス……以上？」

それは……あんな事やこんな事、ってことだよね？

「俺はいつでもいいけど。」

優しいはずの隆くんに意地悪な一面があるんだってことも初めて知った。