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花火大会の今夜は雲一つない快晴。






風も適度にあって、きっと、綺麗に見れるんだろうな。








「お兄ちゃん、同じの。」





「こんな日に女一人で寂しいヤツだな。哀れで兄ちゃん胸が痛いよ。」





「……うるさいなぁ。」








外では花火が上がる音が響いてて、こんな日はさすがにお兄ちゃんのお店もお客さんが来なくて私だけ。





ほんと、虚しい。





だけど家にひとりでいる方が寂しくて、仕事が終わってすぐにここに来た。






……花火、見たかったな。







虚しくなった気持ちを閉じ込めたくて、カウンターの端に置かれたテレビをつけた。






頬杖をついてボーッと画面を眺める私にお兄ちゃんは気を遣って声をかけてくれた。






「なんか食う?」





「んー、たらこスパゲッティ。」





「はいよ。」







普段はこっちからお願いしないと作ってくれない料理も今日は文句一つ言わずに作ろうとしてくれる。






こんな時、兄妹のありがたさに気づく。






会話がなくたって、ただ居てくれるだけで落ち着けるんだから、家族ってほんと大きな存在。







お兄ちゃんがキッチンに入って、店内には私だけになった。






静かすぎてつまらない。






テレビにもすぐに飽きちゃって、テーブルに腕を乗せて顔を伏せた。






目を閉じれば睡魔に襲われて、今すぐにでも夢の中に落ちていきそうで。






もう少し、あと少し……そんな時だった。







カランカランとドアベルが鳴って、お客さんが来たのかと思って顔を上げた。






ドアの方を見てみると、入ってきたのは隆くんだった。





はぁはぁ、と息を荒らげて、私を一直線に見てた。






なにか急ぎの用事でもあるのかなって私は呑気に考えてた。





だから、隆くんが苦しそうに呼吸をしてるのも、顔を歪めてるのも、意味がわからなかった。








「………やっぱりここにいた。」







隆くんはゆっくり私に近づいてくる。





今にも崩れ落ちそうなくらい脱力した体で。







隣の椅子を引いてあげれば腰を下ろして私のお酒に手を伸ばす。





甘いカクテルを一気に飲み干してこっちを向いた。







「隆くんどうしたの?なにかあった?」






おでこに汗までかいて、どうしたの?






「アイツに………成瀬ってヤツに会った。」






「………そっか。」







そうだ、花火に行く約束してるって、隆くんに話したんだった。

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☆まぁ☆(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませて頂いています(*^^)他の作品も全部ステキですが,こちらの続きも楽しみにしています(*^^) (2019年3月10日 0時) (レス) id: 0222ecc7f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるみ | 作成日時:2018年6月30日 10時

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