assorted LOVE (ページ12)

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隆二 side

一瞬自分の目を疑った。

ここにいるはずないヤツがすぐ近くにいて、一緒にいるはずのAじゃない女と笑いあってる。

えっ、双子！？

とか考えたけど、本人だって確信したのはすぐのこと。

店員を探してるのか店内を見渡したアイツ。

あっ、という顔をして俺を見た。

会ったのが初めてじゃないことをあっちもわかってる。

それから数秒間、お互い目を逸らさずにいた。

「隆くんどうした？なに？」

涼介の問いかけにも答えずに体が勝手に動いてて、アイツを見たまま立ち上がった俺。

アイツもまた、そんな俺を見て立ち上がった。

「隆くんどこ行っちゃうの！？トイレ？」

「うん、ちょっと。」

どちらからともなく歩き出して、向かったのはトイレに繋がる狭い通路。

店内からも死角になる場所は都合がいい。

「………成瀬くんだっけ。」

先に口を開いたのは俺。

無性に腹が立って止まらなくなりそう。

「嬉しいなぁ、三代目に知ってもらえてるなんて。これもよっちゃんのおかげだなぁ。」

＂感謝、感謝ぁ＂って無表情で言う成瀬は壁に寄りかかって腕を組んだ。

「で、三代目が俺になんか用？」

「Aはどうしたんだよ。約束してたんじゃねぇの？」

「あー、したした、花火ね。」

「したしたってなんだよ……なのになんでここにいんだよ。」

「なんでって、断ってきたのあっちだから。」

「あっち？」

「俺が言ったことが気に食わなかったんじゃねぇの？もう会わないとか言い出してさ。」

そこまで言い終えた成瀬は、ふっと笑って言葉を続ける。

「あとちょっとでヤレそうだったんだけどなぁ。惜しかったわマジで。」

と、俺を挑発するように。

その瞬間、頭に血が上った俺は、成瀬の胸ぐらを掴んでその手に力を込めた。

ほんとならここで一発殴ってやりたかった。

でも手を出したらなにもかもが終わると、沸騰しきった頭でも想像はできた。

「二度とAには会うな。」

それだけ言い残して、手を放した。

席に戻ろうと振り返ったら、目の前には涼介が立っていて。

「やるじゃん隆くん。俺が惚れちゃいそうだねぇ。」

って、笑う。

「涼介ごめん……俺…」

「早く行ってやんなよ。待ってんじゃん？隆くんのこと。」

涼介に肩をポンと叩かれて、急いで店を飛び出した。

早く、早く、Aに会いたくて。