assorted LOVE (ページ1)

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蝶々結び 1 ページ1

隆二 side

「隆くん、おまたせ。」

＂仕事長引いちゃった＂

そう言葉を続けて向かいの席に座った子は、高校時代からの友達のA。

もう１０年以上の付き合い。

仕事の転勤で地元の川崎から東京に引っ越してきたAと、月に２回は会ってる。

１回は地元の仲間たちとみんなで集まって。

残りの１回は２人きりで。

俺から誘ったり、Aから誘ってくれたり。

毎月の恒例になっていた。

「あさっての結婚式、隆くんは何で行くの？」

「酒飲みたいからタクシーで行くかな。」

「じゃあさ、私のこと拾って？菜々は旦那さんに送ってもらうって言うし、一人で電車とか寂しいし。いい？」

「いいよ。ボッチじゃ可哀想だもんな。」

「うーるーさーいー。隆くんだってボッチじゃん。」

「いんだよ俺は別に。男だから。」

「性別関係なくない？」

俺とAに恋人はいない。

だからと言って俺たちがそういう関係にもなってない。

きっとAは、俺を男として見てないと思う。

出会った時からずっと、友達のまま。

もう１０年以上、そう過ごしてきた。

「でもさ、よっちゃんと真美が結婚とかなんか不思議だね。あんなにケンカばっかしてたのに。」

「よっちゃんずっと真美のこと好きだったじゃん。」

「えっ、そうなの！？私知らなかった。」

「だからだよ。よっちゃんの気持ち知らないで好きな奴の話ばっかして。だからよっちゃん機嫌悪くなって真美とケンカになってたんじゃん。」

「えー、それ真美悪くないじゃん。気持ち伝えないでいたよっちゃんだって悪いよね？」

「……言えねぇだろ……好きな奴いるって言われたら。」

「………そっか……たしかに。」

「でも結果、ここまで来たんだし良かったんじゃん？ケンカもいい思い出になってるよあいつらには。」

仲間内で結婚するよっちゃんと真美。

他の奴らも結婚したり、彼氏彼女がいたり。

３０代にもなれば独身のやつは年々減ってって。

残ったのは俺とA。

別に恋人が出来たことがないわけじゃない。

それなりに長く付き合ったこともあったけど、結婚までは至らなかっただけ。

俺は仕事柄とくに結婚までいくには難しい。

芸能界という憧れの世界に入るのは、多くの犠牲も付き物だった。