極上ハニー (ページ4)

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4.いってきますのキス。ページ4

「ごちそうさま。」

朝ごはんを食べ終わると
隆くんは空いたお皿を流しに運ぶ。

「隆くん、コーヒー淹れようか？」

「食べ終わってからでいいよ。」

「じゃあ、急いで食べちゃうね。」

「いいよ、ゆっくりで。まだ時間あるし。」

「うん、急ぐ。」

家では愛想のない隆くん

口数も少ないし、あまり笑わない

だけど、ホントはすごく優しくて、気遣いの出来る人

そんな隆くんの優しさを感じるたびに

好きって気持ちは膨らんでく。

食後のコーヒーを飲んだ隆くんは

洗面所で顔を洗って、歯みがきをして

寝室に入って着替えを済ませる。

その５分後

家のインターホンが鳴った。

「はーい。」

「Aちゃん、おはよう。」

「おはようございます。今、行きますね。」

「よろしくー。」

室内モニターで、運転手の武田さんと
毎朝恒例のやり取りをして。

「隆くん、タケちゃん来たよー。」

リビングのソファーでくつろぐ隆くんに声をかけると、テーブルに置いてあるキャップを持って玄関に向かう。

「今日は何時くらいになるの？」

「６時には帰ってくる。」

「わかった。お仕事頑張ってね。」

「うん。」

靴を履き終えた隆くんは
クルッと反転してわたしに向き合って立つ。

いつものように、わたしは目を閉じて

胸をバクバクと弾ませながら、大人しく

「いってきます。」

隆くんからのキスを待つ。

「いってらっしゃい、隆くん。」

寝癖がついた髪を隠すために
キャップを深く被ったあと、隆くんは玄関を出ていく。

パタンと閉じるドアをしばらく眺めて

隆くんの口唇が触れた、おでこを摩る。

朝から顔が熱い、熱い。

ホントはね、おでこじゃなくて

口唇にキスをして欲しい。

だけど、隆くんが朝キスをするのは必ず、おでこ。

ま、でも、口唇にされたら

もっとしたくなっちゃうから、いいんだけど。

それに、隆くんがわたしに触れてくれるだけで

満足だから、いいんだけど。

朝からほわほわ、ふわふわな幸せを感じて

わたしの一日は始まります。