酒宴 ページ8
「こんな、つまらん場所を宴の場に選ぶとは。我に無駄な足を運ばせた非礼をどう詫びる？」
開口から不機嫌な英雄王だが、この酒宴には応じるらしい。生け垣の道に立ち、出来るだけ深呼吸で体を休める。本当なら寝ていたいけど、英雄王に顕現の魔力を供給している今、余り動くのは体に障る。
「まあ、そう堅い事を言うな。ほれ、駆け付け一杯でも飲め」
柄杓だったが、英雄王は一口だけで嫌った。安酒、と言って。王の宝物庫を開くや否や、そこから金色の酒瓶と酒盃を３つ出した。ライダーも、セイバーも飲むなり驚く。どれだけ美味いのだろう。子供の私には理解出来ないが。その後、聖杯に何を望むか問う流れになり、征服王は受肉だと言った。一同、口を揃えて「は？」となる。いやまぁ、そうだな。
──アサシンの気配が…言峰さん、いや、遠坂さんの差し金かな。英雄王にパスを繋いで、と。
《英雄王、近くにアサシンの気配があります。殺気などは感じられませんが、一応、警戒の方を》
《…貴様、念会話など人の成せる技ではあるまい》
《今更驚かれますか。パスを繋いだだけですよ》
私は色々チートなので、と言った。しかし、この体で宝物庫を開けられたら倒れちゃうな。
「ほう？ならばその胸の内、聞かせてもらおう」
あれっ、話聞いてなかった。寝起きだからなのか、病み上がりが祟ったのか、集中出来ない。
「私は…聖杯に、ブリテンの救済を願う」
──ああ、そうなるのか。
セイバーは、そういう王だったのだろうな。熱く言を紡いでいる所を申し訳無いが、他の２人は認めていないらしい。
「…おいおい、聞いたか？ライダー。この騎士王と名乗る小娘はよりにもよって、故国に身命を捧げたのだとさ！」
「なあ、セイバーよ。貴様よりにもよって、自らの運命を変えると言うのか？」
「当然だ！剣を預かり、身命を捧げた故国が滅んだのだ。それを悼んで何が悪い！」
賛同し兼ねるなぁ。運命を変えるという事は、即ち歴史そのものを変えるという事。あるべき姿を闇に葬り去り、無きものにするという事だ。そんな事、あっていい筈が無い。
──気配、近いな。後ろと、前にも…取り囲んで…
アサシンの気配は、尚も増えている。どうやら全てを注ぎ込んだらしい。
「…来た…」
色濃く気配を放ったかと思えば、見渡す限りの視界にアサシンが現れた。英雄王の背後まで走り、背後を取られない様にした。
「時臣め。下衆な真似を」
遠坂さんは、やっぱり苦手だ。
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まつよ - 面白かったです。是非、ステイナイトの時の主人公を見てみたいです。 (2019年5月29日 21時) (
レス) id: 4baad1a05f (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月10日 15時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華苑 | 作成日時：2019年5月10日 11時
