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終焉 ページ21

「こんな破滅が、歪みが、私の愉悦だと!よりにもよって、こんな破滅が…言峰璃正の種から生まれたと言うのか!くっ…はっはっはっ、有り得ん!有り得んだろう!我が父は犬でも孕ませたと言うのか!アッハッハッ、アッハッハッハッハッ!」
そんな言い方は無いと思う。言峰璃正という男も、言峰綺礼という男も、私からすれば立派な人間だ。正しく生きた父と、その背中を追うが故に反面教師のようになった息子。よくある光景な気もする。上に背きたくなるのは、誰だって同じだろうし。
「満たされたか?綺礼よ」
「…いいや、まだだな。これでは、足りん。確かに私は、問い続けるだけだった人生にようやく答えを得た。だが?問題を解く過程を省略し、ただ解答を与えられても、それで何が得られると言うのだ」
そこらの赤い布を拾い、英雄王に投げ渡した。ソレを片手で受け取った英雄王は、まだ興味が尽きては居ないらしい。
「この怪奇な解答を導き出す方程式が、何処かに理として存在している筈だ。…いいや、在らねばならない。そして私は、それを理解しなくては」
「つくづく飽きさせぬ男よ。良かろう!神々すらも問い殺すほどの貴様の求道、このギルガメッシュが見届けてやる!」
お前も来い、と英雄王は私を見て言った。
「…魔力のパスがあるとは言え、今の私には何も…出来る事はありませんが」
「せっかく令呪の呪縛から解かれたのだ。貴様とて死人も同然の身。どうせなら、その与えられた命…有効的に使ってみるのも悪くは無いだろう?」
彼の言う『有効的』とは何の事か不明だが、確かに身寄りが無く、とっくの昔に存在を秘匿する為だと銘打って戸籍すら燃やされた私の居場所なんて有りはしない。そう思うと、確かに彼らに付き従った方が有意義で、利己的に思えた。
「そうだ、この際に貴様のその『英雄王』とやらの呼び名も変えよ。いちいち言いにくかろう」
「…英雄王は英雄王です。ですが、お許し頂けるのなら、端的に王様とでも呼ばせて下さい」
「ふん、まあ前よりは良いか。付いて来るが良い。どうした?綺礼」
「…いや」
立ち尽くして何かを見続ける言峰さんに声をかけ、私達は燃え盛る冬木市の街に消えた。英雄王、否、王様と言峰さんの背中を見続けるのも、悪くは無いのかもしれない。
この日聖杯によって、あの忌々しい令呪が消されて初めて、私に真の自由が与えられたのだった。

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設定タグ:Fate/Zero , 遠坂時臣 , ギルガメッシュ   
作品ジャンル:アニメ
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まつよ - 面白かったです。是非、ステイナイトの時の主人公を見てみたいです。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 4baad1a05f (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月10日 15時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華苑 | 作成日時:2019年5月10日 11時

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