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言峰綺礼と言葉を交わした英雄王ギルガメッシュは山の麓に来ていた。何せ、遠坂邸に先に帰った筈の華苑が何処にも居なかった。それとなく遠坂時臣に聞けば、部屋を燃やした故に野宿だと言う。初日に繋がった魔力を逆探知するように追ってくれば、山に行き着いた訳だ。そして、そこで見失った。
──さて…この辺りの筈だが……ん？
頬に水が落ちた。雨かと思ったが温い。上を見れば枝の上に華苑が寝ていた。まあまあ高い位置の枝に居る。
「ほう？」
だが、問題は枝の高さよりも、彼女が泣いていた事にあった。
「…貴様も人並みに泣くのだな、華苑よ」
そのまま登れば揺れで起こしてしまうので、英雄王は霊体化して傍に実体化した。泣き疲れて眠ったと見える彼女の目元にある涙を、普段の冷淡な様子が嘘と思える程に優しく指で掬い、英雄王は意外そうに呟いた。静かに流れる涙は止まらず、そして時間を忘れる程に遅かった。
「…ん……？……っ、え…英雄王？」
「起こしたか」
「いえ、そんな…ここで、何をしていますか」
「……なに、気紛れに散歩をしたら貴様を見つけただけの事。貴様こそ、部屋を焼かれたからと言って枝の上で野宿とはな」
「悪いですか。どこで寝ようと私の勝手です」
「ほう？随分と機嫌が悪いな。どうした、あの部屋は愛着があったのか？」
「……夢見が悪かっただけです。お気になさらず」
夢見が悪いと言う割には、何処か感動したような目をする華苑を不審に思い、英雄王は食い下がった。何を語る事も無く、寝起きの華苑は煩わしそうに月を見上げて言った。
「…広いですね、ウルクって」
「！…貴様、まさか我の記憶を見たのか」
「そのようですね。エルキドゥ…様は、お綺麗な方でした。貴方の視点からでしか見ていませんが、私が思うに…貴方は貴方なりに、人間を好きで、人の国を治めようと頑張っていらっしゃいましたよ」
吃驚した様な英雄王は、そうか、と零して黙った。魔力を供給しているマスターには、サーヴァントの記憶が共有される事もある。魔力を供給している役を担う華苑が見るのも、不思議な事は無い。
「我は別に、人間は好きでも嫌いでもないわ。皆、取るに足らない雑種よ。我とて、人と神の交わりによる生まれだが、それでもウルクは我の国だった」
そうでしたね、と華苑は相槌を打つ。話はウルクの話に始まり、突然華苑の涙の理由に移った。華苑の口から事細かに聞いた英雄王は、話が終わるまで黙っていた。
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まつよ - 面白かったです。是非、ステイナイトの時の主人公を見てみたいです。 (2019年5月29日 21時) (
レス) id: 4baad1a05f (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月10日 15時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華苑 | 作成日時：2019年5月10日 11時
