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執念 ページ12

「…気持ち悪ぃ」
英雄王の宝物庫から出て来た飛行機的な物体に、私と遠坂さんは同乗して来たが、目下の醜悪な生物と乗り物酔いで、私は今にも吐きそうだった。
「やれやれ、乗り物酔いは相変わらずだね。華苑」
「……何あの魔力の塊…パス繋いでいたら1発で空からゲロしているレベルなんですが」
「アレがキャスターの本体だ。因みに、パスは繋げられるかい?華苑」
「…言いたい事を纏めて二つだけ言いますと、今の言葉聞いてました?それと、私がパスを繋ぐ為には対象とゼロ距離もしくは対象本体または対象の武器などに触れた場合のみです。あの気持ち悪い触手に絡め取られて死ねと申されるならば、私は何も言いませんが」
「そうか」
それだけかよ。実利主義。だから魔術師は嫌いだ。
「…英雄王、アレは御身の庭を荒らす害獣で御座います。どうか、手ずからの誅戮を」
「……そんなものは庭師の仕事であろう。それとも時臣、貴様はよもや…この我の宝が庭師の鋤も同然と愚弄するのではあるまいな」
「滅相も御座いません。しかし、アレは丘の者には手に余る存在です。どうか、ご英断を」
英雄王と遠坂さんを見比べて、私は黙っていた。頬から手を離した英雄王は、4本ほど宝剣を放った。しかし、あのキャスターだったバケモノには効果が無いらしい。
「引き上げるぞ、時臣。もはや、あの汚物は見るに耐えん」
「英雄王、どうかお待ちを!」
「…時臣、お前への義理立てと思って…宝剣宝刀の4丁を使い捨てた。あのような汚物に汚されては、回収する気にもなれん」
「あの怪物を仕留められる英霊は、貴方様を置いて他に居りませぬ!あれ程の再生能力がある以上は、御身の乖離剣を置いて他には──」
「痴れ者がっ!」
酒の入った盃が転がり、その声は高らかに響く。傍に居た私は驚いて耳を塞いだ程だ。
「我が主宝のエアを此処で抜けと?弁えよ、時臣!王に対してその妄言、刎頸にも値するぞ!」
遠坂さんは黙ってしまった。魔術師として有能なる遠坂家と、自身の矜恃が、ここまで彼を焦らせるのだろうな。
「おえっ…」
「雑種、ここで吐いてくれるなよ」
「流石にしません…ただ、その…バーサーカーが」
「何?」
遠坂さんも視認したらしい。魔力を注ぎ込んだ空軍の戦闘機が接近中。
「痛っ…痛い…!」
波止場での一件で、バーサーカーとのパスを繋げたのを忘れていた。凄まじい魔力の消費に、体が悲鳴を挙げるようだ。
「英雄王、私はマスターの相手を」
遠坂さんの声が、遠かった。

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設定タグ:Fate/Zero , 遠坂時臣 , ギルガメッシュ   
作品ジャンル:アニメ
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まつよ - 面白かったです。是非、ステイナイトの時の主人公を見てみたいです。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 4baad1a05f (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月10日 15時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華苑 | 作成日時:2019年5月10日 11時

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