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33 鬼 ページ35

あの落ち着きぶりはおかしい。

玄弥は自分がどこまで怪我していいのか、その加減を知っているようにみえた。

今までに何度かこのような経験をしているはずだ。


「その力はなに」と聞けば重い口が開かれる。


「鬼を…食いました。
多分、それによって鬼の力を引き出せるんです。
俺、呼吸が使えねぇからこうするしかなくて…」


人間離れした回復力は鬼の力なのだろう。
いや、人間が鬼を食べるなんて聞いたことがない。
そう焦ると同時にどこかで納得もしていた。

呼吸に勝る力を得たからここ最近機嫌がよかったのか。

討伐も、目の見えない行冥さんならばれないと思って鬼を食べてたんだろう。



「何でそこまでするの」

「俺は柱になって、あの人に謝らなくちゃいけないんです」


詳しいことは教えてくれなかったが、謝る相手とは西瓜の送り主のことだろう。
あの目付きの悪い人はやっぱり彼の兄だったのか。



「…」


彼は強い。





自分がしたことから逃げ出さず、きちんと向き合っている。
だからこそ力になってやりたい。
彼が柱を目指すのであれば全力で支えてやりたい。

これが姉弟子の役目でもあるし、私の果たせなかった目的を果たそうとする者への最低限の敬意だと思う。


…私は弱いな。

この現状に甘えて行冥さんに謝ろうともしなかった。

嫌われるのが怖い。

やっと、また一緒に住むことができたのに。

 

「…あの人はまだ気づいてねぇから…悲鳴嶼さんには言わないでください。」




その声は震えていた。

玄弥は継子ではない。
これがバレれば追い出されるかもしれない。


「わかった。悲鳴嶼さんには内緒にしておく。

さ、屋敷へ戻りましょう」

「はい…」


目が合った。
その色はいつも通りで、玄弥が人間に戻ったのがわかった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 悲鳴嶼行冥 , 胡蝶しのぶ   
作品ジャンル:アニメ
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春駒(プロフ) - b0t1s26さん» 悲鳴嶼さん推しがいっぱい…!!嬉しいです!更新頑張ります! (2020年4月6日 17時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)
b0t1s26(プロフ) - ひめじまさん推しなので嬉しいです!更新楽しみに待ってます! (2020年4月5日 23時) (レス) id: ee722d4776 (このIDを非表示/違反報告)
春駒(プロフ) - ツカサさん» 悲鳴嶼さん格好いいですよね…!!更新頑張ります! (2020年4月5日 11時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)
ツカサ(プロフ) - ひめじまさん大好きなので、めちゃんこ好きです……!文才も分けて欲しいくらい!最高です!応援してます。 (2020年4月5日 6時) (レス) id: f3ba525ade (このIDを非表示/違反報告)
春駒(プロフ) - もむさん» 誤字脱字のご確認ありがとうございました!早速直します! (2020年3月30日 23時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春駒 | 作成日時:2020年2月11日 16時

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