26 西瓜 ページ28
「ただいま戻りました」
昼の鍛練が終わり、我が家の戸を叩けば玄弥が大きな西瓜を抱えて飛んできた。
「Aさん見てください！西瓜ですよ！」
「西瓜？珍しいね」
季節で言えばまだ初夏である。
西瓜がなるには少し早い。
そう感じたものの手渡された西瓜はせっかちらしく、食べ頃と言わんばかりにずっしりと重かった。
ざくり、と切れば深紅の断面が姿を見せ、その表面から果汁が垂れた。
玄弥はまな板の近くでその一挙一動をまじまじとみつめている。
「包丁使ってるから近寄らないでね」と注意すると少し離れてくれた。
「…早く食べたいです」
「ふふ、玄弥は西瓜好きなの？」
西瓜を見つめながら頷く玄弥。
よっぽど好きなんだろう。
それなら、と玄弥の分を厚めに切って皿へのせた。
「悲鳴嶼さん、西瓜です」
彼は鍛練の最中だった。
声をかけるか否か悩んだが、先に彼がこちらを向いたので一緒に食べることにした。
大きな手で西瓜をつかみ、口へ運ぶ。
大きい西瓜なのに彼が持つと小さく見える。
玄弥は両手で持って食べていた。
小さな口で一生懸命食べる姿を見ると自然と顔がほころんでしまう。かわいい。
「ふふ。ほら、こっち向いて」
顎まで伝う果汁を手ぬぐいでつどふいてやるが、等の本人はおかまいなしにまた大きな口でかぶりつく。
それを何度か繰り返していると、行冥さんが口を開いた。
「Aも食べたらどうだ」
「…あ、ではいただきますね」
手をつけていないのが気に障られたのかな。
無造作にひとつ手に取り口にいれる。
「…とても美味しいです！」
早いと感じたが、意外と西瓜は甘く、瑞々しかった。
「そうだろう。これは目利きの人から頂いたものでな」
「だからこんなに甘いんですね」
旬でも中々食べられない甘さに舌鼓を打つ。
玄弥は二つ目に手を伸ばしていた。
この時期から美味しい西瓜を探すなんてよっぽど西瓜が好きなんだろう。
そう思いつつ、名も知らぬ送り主に感謝した。
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春駒(プロフ) - b0t1s26さん» 悲鳴嶼さん推しがいっぱい…！！嬉しいです！更新頑張ります！ (2020年4月6日 17時) (
レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)
b0t1s26(プロフ) - ひめじまさん推しなので嬉しいです！更新楽しみに待ってます！ (2020年4月5日 23時) (レス) id: ee722d4776 (このIDを非表示/違反報告)
春駒(プロフ) - ツカサさん» 悲鳴嶼さん格好いいですよね…！！更新頑張ります！ (2020年4月5日 11時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)
ツカサ(プロフ) - ひめじまさん大好きなので、めちゃんこ好きです……！文才も分けて欲しいくらい！最高です！応援してます。 (2020年4月5日 6時) (レス) id: f3ba525ade (このIDを非表示/違反報告)
春駒(プロフ) - もむさん» 誤字脱字のご確認ありがとうございました！早速直します！ (2020年3月30日 23時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春駒 | 作成日時：2020年2月11日 16時
