【鬼滅の刃】裏切り者の継子【悲鳴嶼行冥】

18 勾玉 ページ20

蝶屋敷にきて四日が過ぎた。


叩き起こされる回数は減ったものの、１日として中断せずに終わることはない。
隣を歩くアオイちゃんとお喋りしながら部屋へ向かう。

ふと、窓の外に目をやると門をくぐる人達が見えた。
もう任務に出るのだろうか。手や脚に巻いた包帯は痛々しかったが、しっかりと刀を携えて屋敷を出る彼らは同志として尊敬できた。


私も早く極めなければ。
今よりたくさんの鬼を斬って隊員として活躍しよう。

そうしたら、彼に誉めてもらえるかもしれない。もしかすると、昔のように頭を撫でてもらえるかもしれない。

そんなことをぼんやり考えながら眺めていると、隊員のなかにくせっけの人がいることに気がついた。

珍しいな、そう思って目を離そうとしたとき。


見えてしまった。

そいつの首元には金色の勾玉があった。


「…ねぇ、アオイちゃんはあの人しってる？」

「え？…あぁ、先程治療を受けていかれた…ってAさん！！」
言い終わらないうちに窓をあけ外へ飛び出す。




あいつだ。
獪岳だ、間違いない！！



門を出て道へ出るが、そのすがたはもうなかった。


追いかけるべきか？
いや、もう遠くへいってしまっただろう。それに声をかけたところでなんになる。


鬼殺隊員？
あのとき、皆を鬼に売ったくせに？


ギリ、と歯軋りをする。



許せない。
絶対に許せない。





「どうかされましたか」

屋敷に戻れば、アオイちゃんが不思議そうな顔をして立っていた。
蝶屋敷のみんなは私情にまきこみたくない。

「ううん、ちょっとね。親しい人だから、まさか挨拶なしに出ていくとは思わなくて」

ここは静かに行動しなければならない。
探す人を増やせば増やすほど行冥さんに知られる確率が高くなる。
探すなら私一人で慎重に探さなければ。


あいつはあいつでうまくやるから行冥さんの耳にはいることはないだろう。昔から要領がよかったし。


「…ならいいです。それより、今日こそお願いしますよ」

「うん、今日で極められるよう頑張るね」


そう返事し、自室へと向かった。

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