【鬼滅の刃】裏切り者の継子【悲鳴嶼行冥】

10 全集中常中 ページ12

彼がご飯を口にいれた瞬間、ピタリと動きが止まった。

「今日は炊き込みご飯か」

「はい、根菜を多く買ったので作ってみました」

炊き込みご飯は彼の好物だったはず。
幼い頃、頻繁に食卓に並んでいたから間違いない。

いつもはばれないようにあえて違う味付けにしてたけど、今日だけは昔にもどしてみた。


「町の人から教わった味付けにしたんですけど、お口に合いましたか」

「…南無。うまいな」



そういって一口、また一口と茶碗からご飯が消えていく。

よかった、気に入っていただけたようだ。

私も一口食べる。
懐かしい味が口に広がって、



つい泣きそうになった。


あの頃の思い出がふわりと頭のなかを駆け巡り、慌てて目元をぬぐう。
しんみりした気配をかき消すように、今日あったことをはなした。


「あの、全集中常中について、ご指導いただけますでしょうか」

「…胡蝶から聞いたのか」
「はい」

しばらく沈黙が流れたが、「南無…」と箸をおいたので続けて私も箸をおく。



「…常中とは、全集中の呼吸を常にすることで、基礎体力を大幅に伸ばすことだ。

要点としては、筋肉を鍛え、肺を鍛え、全身の筋肉に常に酸素を送る想像を絶やさないことだ」



「……頑張ります！！」


こうして、全集中常中の修行が始まった。

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