【鬼滅の刃】裏切り者の継子 ー 続 ー【悲鳴嶼行冥】

49 蝶屋敷 ページ5

それから半月ほど経った頃。

痛みが引いたので討伐にいこうと玄関で靴紐を結んでいると行冥さんがすっ飛んできた。


「どこへ行く」

「えっと、鍛練を兼ねた討伐です。痛みが引いたので今から鍛えておかないと。」


「蝶屋敷へいきなさい」
　
「へ？」

「鍛錬は怪我の具合を確認してからだ。それに、じきに日が暮れる。行くなら鬼のでない日中にいきなさい」


過保護である。
まごうことなき過保護である。



もうほとんど治ったというのに行冥さんは許してくれなかった。
胡蝶さんの確認がなければ鍛練も訓練もさせてもらえないのだろう。


仕方ない、諦めよう。
早々に断念し靴をもとの場所に並べる。

過保護な彼のことだ、このまま駄々をこねると「屋敷まで送る」なんて言いかねない。


それが本当に起こりそうで、翌朝一番に家を出た。








「あれほど怪我しないでって言いましたよね？」
「…も、申し訳ないです」


案の定胡蝶さんには怒られた。

「もう痛みは引いたんですよ！」と反論したが「じゃあ見せてください」と低い声で唸られてしまい負けた。

胡蝶さんは怪我した時期と治療法、投与された薬なんかを聞き出してそれをスラスラとカルテに書き留める。



「そうですね、この様子だと骨がくっつき始めた頃でしょうか。
…本当に痛みは引いたんですか？」

「えっと…」

「正直に」

「…ちょっと、痛いかもしれません」

はあ、とため息をつかれる。
呆れられたかな。

「まだ完全に治ってません。もどかしい気持ちもわかりますが、もう少し自分を大事にしてくださいね」

「はい…」

「煉獄さんも気にかけられてました。心配するのは私だけじゃないんです」


柱の情報網は恐ろしい。
もう胡蝶さんの耳に入っているのか。

「ｳｯ気をつけます…」


「それ何度目ですか。まったく…よっぽどその音楽鑑賞とやらに気を取られてたんですね」

「へ？」





俯いていた顔をあげる。

胡蝶さんは相変わらず微笑んでいた。

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