元彼氏の神山くん【緑】

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『……なあ、Aちゃん、』

「…………なに？」

『はじめて、ちゅーした時のこと覚えとる？』

「…………うん。」









学校の帰り道、


ちょうど寒くなってきた頃で





コンビニに寄って

2人で、肉まんを買った。






公園に寄って、ベンチに座って

一緒に食べてたら




不意に名前を呼ばれて、キスされた。









『……ファーストキスの思い出やのにな、めっちゃ笑われんねん。』

「…………うん、私も。」

『だってなあ、いつしようかなあ、って ずっと考えてたのに』

「…………」

『マフラーして、肉まん食べてんの可愛すぎて』

「…………」

『気付いたら、ちゅーしててん。笑』









たった数ヶ月だけど、

こんな思い出、いっぱいあるよね



って、笑い合えることが嬉しくて




またこうやって、一緒にいれるなんて

夢にも思ってなかったから。







青春時代の、甘酸っぱいけど

キラキラしてて、あたたかくて優しい思い出


大切な、懐かしい思い出




…………それで、終わるんだと思ってた。









続きがあるなんて、思ってなかったよ？



今日また、久しぶりに会うまでは……









『今もな、あの時と同じ気持ちやねんけど』

「…………」

『めっちゃ、ちゅーしたいねんけど』

「…………」

『……もう、大人になったから』









また、ぎゅっと

私を抱きしめる腕が、きつくなった









.









『…………連れて帰って、いい？』









…………耳元で、少し低い声で囁かれて


ぎゅーっと、胸が苦しくなる。








なんだか、急に 恥ずかしくなりながらも


「うん」と、小さく頷けば、









『ん、ほんなら………帰ろっか？』






そう言って、ふわっと優しく笑って


差し出された、手を






迷わずに、ぎゅっと握った。








元彼氏の神山くんは、


今日からまた、もう一度

……彼氏の智洋くん、に なりました。





END





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