話し合い ページ19
大きな鳥の形をした怪人がガロウを連れ去った。あっという間だった。
「ねえ！ガロウくんを連れて行かないで！！お願いだから！！ガロウくん！」
Aは必死に呼び掛けたが、怪人がそんなことに耳を貸すわけがなく、代わりにムカデ長老という巨大な化け物を寄越してきた。
Aの心は、細い枝のようにポキリと折れた。
彼女はシルバーファングに安全な場所へ運んでもらい、ムカデ長老がやっつけられる様子を、ただ唖然と見ていた。
「ん？誰だそいつ」
黄色ベースのヒーロースーツを来た男性と目が合った。
「……ガロウの友人じゃよ」
バングは彼女の心中を察した。恐らく、ガロウが彼女の呼び掛けに応じなかったのは初めてのことなのだろう。ただでさえ友人が傷だらけで驚いただろうに、そのうえどこかに連れて行かれてしまうなんて。ガロウのことをこんなにも思ってくれている人物が他にいるだろうか。ガロウは、目前の幸福に気づいているのだろうか。
「ふーん、ガロウの……。とりあえず片づいたし、俺んち戻るか。キングも来いよ。もう一回勝負しようぜ」
「あ、わしもいいかの」
「え、なんで」
「先程の技で腰をやっちまってな」
バングは腰を痛そうに摩った。すると、ボングも膝が痛いと訴えだした。
サイタマは渋々それを了承し、少しも動かないAの手を取って引っ張り起こした。
「ほら、お前も行くぞ」
Aには、その姿がガロウと重なって見えた。
緊張状態だったのが一気に緩み、Aの目からは涙が次々と流れて落ちた。そのヒーローの手が大きくて温かくて安心してしまった。
Aはわかってしまった。怖かったのだ。狂ったように戦うガロウが。血だらけのガロウが。自分が呼んでも振り返らなかったガロウが。ヒーローに負けそうになっていたガロウが。
「……はい…」
涙を拭い、彼女は小さく返事をした。
誰かと一緒にいたかった。でないと、不安でどうにかなりそうだった。
「自分で歩けるか？」
Aは静かに頷いた。
「……頑張ったな」
何のことだか、Aにはわからなかった。この男には、自分のことなんてわかるはずがなかった。
それでも、頭に乗ったその手に、男の限りなく無表情に近い笑みに、安心し、また泣きそうになった。
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ピピ - いいお話ですね!(^^)ガロウ好きなので見れて嬉しかったです！ (2020年7月3日 23時) (
レス) id: 237a18687d (このIDを非表示/違反報告)
イカ墨(プロフ) - 初めまして！最近ワンパンマンにハマったものです＜(_ _)＞みどりんごさんが書かれるガロウ君がとても可愛くて好きです!ゆっくりで大丈夫ですので更新楽しみに待ってます！ (2020年2月10日 17時) (レス) id: fb3cd6009c (このIDを非表示/違反報告)
みどりんご(プロフ) - ありがとうございます！ワンパンマンのガロウ編早く終わらないかなと思いつつ、まだまだ続いてほしいと感じています。でもやっぱり終わってくれた方がストーリーを考えやすい！ (2019年10月22日 12時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - こんにちは！お久しぶりの投稿嬉しかったです！ここから展開が難しいとは思いますがみどりんごさんの作ってくださるお話が大好きなのでゆっくりでも、楽しみにしてます^_^ 続き、気になります！ (2019年10月22日 11時) (レス) id: 06f0963ee8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴ子(プロフ) - 私もガロウが一番好きです！同じく漫画で一目惚れしちゃいました。更新ファイトです( ☆∀☆) (2019年8月23日 16時) (レス) id: 2441a2e2ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みどりんご | 作成日時：2019年5月17日 11時
