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急いで顔を上げると、公園の入り口には彼が立っていた。黒いランドセルが太陽の光を反射して光っていた。
「泣いてるの?自分のせいじゃん」
「な、泣いてないし!」
普段はとても大人しいのに、彼は結構言う方だった。
彼に泣き顔を見られることがとても恥ずかしくて、上げた顔をまた下へ向かせた。蟻がせっせと働いているのが見えた。
「ねぇ、僕達はこの蟻以下なのかな」
彼は右隣のブランコで立ち漕ぎを始めた。前に後ろにとそれは大きく揺れた。なんだか自分も立ち漕ぎをしたくなって、座っていた所に足をかけた。
漕いでみると、風が顔へ背中へ次々と当たって、とても気持ちが良かった。その間だけは、辛いことを忘れられていた。
「きっと蟻は、省かれない。理不尽だなんて、感じたことない。ヒーローごっこって、とっても理不尽だよね。僕は皆にそれをわかってほしいんだ。君は今、なんで自分がいじめられてるんだ、理不尽だって思ってるでしょ?違うよ。みんな、君には不満があったんだ。言えなかっただけ」
そう言うと、彼はブランコから手を離し、何メートルか先に着地した。彼のランドセルに付いている怪人のストラップがガシャッと音を立てた。私はというと、そんなことできないので揺れが止まるのを待った。
「僕は、嫌われ者が人気者にやられるだなんてまっぴらごめんだ。いつかたっちゃんを、僕をいじめてる奴らを、見返してやる」
振り向いた彼の目はギラギラと輝いていた。私はその目に惹きつけられた。
やっと止まったブランコを降りると、ガロウくんは悪そうな顔をして手を引っ張ってきた。
「君はみんなが見てないとこで僕に毎日話し掛けてくれたよね。だから教えてあげるよ。近くにすっごい安い駄菓子屋があるんだよ!他の子は絶対に知らないとこ!」
「でも、ガロウくんお金持ってないでしょ?」
しかし、ガロウくんはズボンのポケットから五十円玉を二つ出し、一枚を私に投げて寄越した。
「学校にお金持ってきちゃいけないんだよ?」
「そんなの守ってる奴なんてうちのクラスにはいないよ」
私が困った顔をすると、「これから君もその金でお菓子買うんだから共犯だ」とニヤリ笑われた。
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ピピ - いいお話ですね!(^^)ガロウ好きなので見れて嬉しかったです! (2020年7月3日 23時) (レス) id: 237a18687d (このIDを非表示/違反報告)
イカ墨(プロフ) - 初めまして!最近ワンパンマンにハマったものです<(_ _)>みどりんごさんが書かれるガロウ君がとても可愛くて好きです!ゆっくりで大丈夫ですので更新楽しみに待ってます! (2020年2月10日 17時) (レス) id: fb3cd6009c (このIDを非表示/違反報告)
みどりんご(プロフ) - ありがとうございます!ワンパンマンのガロウ編早く終わらないかなと思いつつ、まだまだ続いてほしいと感じています。でもやっぱり終わってくれた方がストーリーを考えやすい! (2019年10月22日 12時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - こんにちは!お久しぶりの投稿嬉しかったです!ここから展開が難しいとは思いますがみどりんごさんの作ってくださるお話が大好きなのでゆっくりでも、楽しみにしてます^_^ 続き、気になります! (2019年10月22日 11時) (レス) id: 06f0963ee8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴ子(プロフ) - 私もガロウが一番好きです!同じく漫画で一目惚れしちゃいました。更新ファイトです( ☆∀☆) (2019年8月23日 16時) (レス) id: 2441a2e2ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みどりんご | 作成日時:2019年5月17日 11時