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七話 ページ29

「茅野さんッ! 待って、お願い待ってッ!」

私の叫びに茅野さんはハッとして私の方を見た。

「え...夢野、さん...?
あれ..俺....なにやってるんだろ...?」

柵にかけていた手をゆっくり外すと困惑した顔で私と柵を交互に見た。

「危ないじゃないですか...」

このまま落ちるかと思った...
びっくり、した...

「夢野さん!? 大丈夫!?」

安心したからなのか膝から崩れ落ちる。
そんな私を見て驚いて茅野さんが駆け寄ってくる。
だけど雨のせいで滑って顔からすっ転んでしまった。

「か、茅野さん...!?」

「あはは、転んじゃった...うわぁ、びしょ濡れだね」

くすくすといつものように笑う茅野さんにつられて私も笑う。



ひとしきり笑ったあと私は訊ねた。

「どうして、あんなことしてたんですか」

茅野さんは答えずに空を見上げた。
そこには灰色の雲が空を分厚く覆っていた。

雨が目に入る。
どのくらいそうしていただろう。
唐突に茅野さんが口を開いた。


「...少し思い出に浸ってただけだよ」

「だからって...落ちたらどうするつもりだったんですか」

「....そのときはそのときだよ」

そう言った茅野さんの目は全てを諦めているような目で。
私はたまらなく恐ろしくなった。

もし『そのとき』が来て茅野さんが死んでしまったら。
私はどう思うのだろうか。


そのあと、どうするのだろうか。

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設定タグ:シリアス , 学園   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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秋葉まこ - 雨飴さん» はいっ!お互い頑張りましょう!! (2017年9月24日 10時) (レス) id: 5673d41816 (このIDを非表示/違反報告)
雨飴(プロフ) - 「夕霧」さん» コメありがとうございます! 描写は頑張っていたのでそう言っていただけると嬉しいです! 自分のペースで頑張りますのでよろしくお願いします! (2017年9月24日 10時) (レス) id: 91eb9af7ae (このIDを非表示/違反報告)
雨飴(プロフ) - 秋葉まこさん» 早速来てくださったのですか!? ありがとうございます! そう言ってもらえて良かったです。秋葉まこさんも頑張って下さいね! (2017年9月24日 10時) (レス) id: 91eb9af7ae (このIDを非表示/違反報告)
「夕霧」(プロフ) - とても面白かったです!!。読みやすいし、描写もしっかりしていて、あと設定からおもしろいですし。これからも更新頑張って下さい (2017年9月24日 9時) (レス) id: c5d4c961eb (このIDを非表示/違反報告)
秋葉まこ - 自分のペースで頑張ってください!応援してます!! (2017年9月23日 21時) (レス) id: 5682f31475 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨飴 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年9月23日 19時

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