Sweet And Bitter Days (ページ35)

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カレーページ35

DH

仕事が終わり、Aの家に着く頃には時計の針が10時35分を指していた。

車に乗り込んだところで、電話をかけたら″待ってる″とAが言ってくれたので約束通りAの家に行くことにした。

いくら幼なじみとは言え、夜遅くに女性の家に行くのはどうかと思ったけど、悩むのも面倒になってグダグダ考えるのは止めてしまった。

教えてもらった部屋の前に着くと何だかいい匂いがする。

なんとなくその匂いの元が俺を待っている気がして、急いでチャイムを鳴らした。

中から″はーい″と聞こえパタパタとスリッパの音が聞こえた後、ガチャリと開かれたドアからひょっこりAが顔を出した。

「お疲れさま！入って！」

笑顔で出迎えてくれたAに安堵する。

DH「ただいま。」

そう言ってから用意されていたスリッパに足を通す。

そう言えば昔もAの家には俺専用の子供用のスリッパがあったっけ‥。

「それ、ドンへ専用スリッパね。」

そんな細かいところまでお互いが覚えていることに嬉しさがこみ上げる。

Aのこと自体忘れてたくせに！と突っ込まれたら何も言い返せないけど‥。

でも今では本当、何で忘れてたのか不思議なくらいAとの思い出が鮮明に蘇っている。

「ドンへ、ごはん済ませた？」

DH「いや、まだ食べてないよ。」

「良かった。カレー作ったんだ。」

昔からAが俺の機嫌を取ろうとする時にはカレーが用意されていた。

小学生でもわりと簡単に作れる料理だったし、何より俺自身Aの作るカレーは大好きだった。

機嫌取りだと分かっていても、まんまと騙されてしまうのはどうやら今も健在のようだった。

すっかり緩んだ頬を隠しながら、Aの作ったカレーが運ばれてくるのを待った。