Sweet And Bitter Days (ページ22)

今日:7 hit、昨日:21 hit、合計:142,842 hit

綺麗な人ページ22

you

昼休みの時間帯だからか、スーツ姿の人が多く見られるソウル市内某所。

そんな中、ガッツリお洒落を決め込んでキョロキョロしながら歩く私は不審者に違いない。

その証拠にすれ違う人々は怪訝な顔で私を見ている。

そもそもの始まりは、私が携帯を家に置いてきてしまったことに始まる。

ドンへとの約束の時間に間に合うように確かに家を出た。

地下鉄に乗り、店の住所を確認しようと携帯を取り出そうとした時、家に忘れていたことに気がついた。

今から取りに行っても間に合わないし、なんとかなると高を括っていたのがいけなかった。

改札を降りて途中まで覚えている住所を頼りに待ち合わせの店を目指す。

‥が、結局迷子です。

「Oh, Silly me！(あぁ、私のバカ！)」

思わず、慣れ親しんだ英語で叫ぶ。

なんとかなるわけなんてなかったんだよ。

だって、私が住んでいたのは韓国は韓国でもソウルではなく木浦だし‥。

「‥どうかしましたか？」

まるで天使のような声に縋るように振り向くと、声だけでなく天使のように綺麗な女性が立っていた。

うわぁ‥すっごい綺麗な人‥。

「あの‥？」

「あっ、すいません。えっと‥迷子になってしまって‥‥」

店名を伝えると天使のような女性は″あぁ、そこなら‥″と幸いにも知っているようで、丁寧に説明してくれた。

「あのっ、本当にありがとうございます。今度是非お礼を‥。」

「ふふっ、大丈夫ですよ。」

「でも‥。」

「じゃあ、こういうのはどうかしら？今度どこかでまたお会いしたらお友達になりましょう？」

「‥はいっ！」

″それじゃあ、また″と手を振って去っていく天使を見つめる。

‥素敵な人だったなぁ。

私が男ならあんな人と付き合いたいものだ。

あれ？私何か忘れ‥

あっ！ドンへとの約束！！

約束を思い出した私は、教えてもらったばかりの道を急いで走り出した。